2020年の五輪開催もあり、さらなる進化を見せ始めた東京エリア。総務省の発表によると、人口も20年連続で増加しており(※)、若い世代が地方から首都圏へと移動している傾向が見て取れる。そうしたなか、事業エリアを首都圏に限定し、主に若い単身者向けのアパートの開発で注目を集める企業がある。「アパート経営の専門店」として知られるセレコーポレーションだ。多くの土地オーナーから支持される理由はどこにあるのだろうか──。
入居者を“ゲスト”と呼びニーズに徹底して応える
「あらゆる人にとって生活の基盤である衣食住。しかしこれまで、単身者向けの『住』は6畳ほどのスペースにキッチン、ユニットバスという仕様が一般的で、それほど選択肢がありませんでした。選択肢がないことは、豊かさがないことと同様です。そこで私たちが行ったのが、“ゲスト”と呼んでいる入居者の方たちが満足する感動空間づくり。首都圏の単身者が求めている住まいをつくり、アパート経営を長期的に安定させることを目指しました」
こう語るのは、セレコーポレーションの鈴木謙一取締役だ。潜在的な需要を踏まえた商品展開は市場攻略のセオリー。加えて、エリアとターゲットの絞り込みは、経営資源の有効活用にもつながる。
「アパート経営においてゲストからの評価は、オーナー様の収益に直結します。近年、相続対策としてアパート経営を行う方も増えていますが、節税だけでなく、きちんと収益事業になっているかどうかが重要です」(鈴木取締役)
同社は、国土交通大臣が指定する認定機関である(財)日本建築センター他による厳しい審査をクリアし、認定・認証を受けた鉄骨プレハブメーカー。国内に9社しかないうちの一社だ。他の大手ハウスメーカーが多様な商品群で全国展開するなか、アパートに特化。徹底した差別化戦略で、土地オーナーからの支持を広げている。
また、狭小地や変形地を活用する“敷地対応力の高さ”も同社の強みだ。清水謙二集合営業部長は「土地の広さや形状に合った最適解を見つけるのが私たちの役割。設計の自由度を高めて対応している」と言う。そのため、これまで建てられた約1500棟のアパートはそれぞれに個性的。土地が持つ価値を最大限に引き出している。
空間を有効活用し新たな価値を生み出す
人口が集中する首都圏の限られた土地を高度活用する。その方針は部屋づくりにも生かされている。例えば主力商品の一つ「フィール」がそうだ。通常は1Kの広さである約25平方メートルの空間にリビングとベッドスペースを確保。一人暮らしをする人の多くが望む“寝食分離”に応えている。
また、1階の床下を活用し、ベッドスペースとワークスペースを上下に配置した「フュージョン」も人気の商品。空間を立体的に活用し、室内の快適性、機能性を高めている。
※総務省「住民基本台帳人口移動報告」より。東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)について。