今、横浜市に、グローバル企業の本社や研究施設が続々と進出している。その背景には何があるのか。誘致活動を積極的に展開する横浜市の林文子市長に聞いた。

優れたビジネス環境と都市の総合力が横浜の強み

──今年3月に、アップル社の技術開発拠点が横浜に進出するというニュースが大きく報じられました。これまでも優良企業の進出が続いていますが、横浜が選ばれる理由についてどのようにお考えですか。
林 文子●はやし・ふみこ
横浜市長

【林】優秀な人材が集積し、暮らしやすく働きやすい都市としての総合力と、交通アクセスや立地コストといったビジネス環境をご評価いただいたと思っています。これまでにも、日産自動車様や富士ゼロックス様をはじめ、多くのグローバル企業に進出いただき、今年はアップル社様に続いて、資生堂様の新たな研究所の進出も決まりました。

──優れたビジネス環境として、まず交通アクセスの優位性が言われますが。

【林】都心部へのアクセスの良さは横浜の大きな魅力です。横浜駅から、東京・新宿といった主要ターミナル駅まで30分以内、国際化が進む羽田空港には24分です。新横浜駅には東海道新幹線「のぞみ」が全車停まり、国内外あらゆる方面への、アクセスが容易です。

──進出企業からは「人材の確保」についても評価する声が聞かれます。

【林】私自身、複数の企業の経営に携わり、競争力の源泉は何より「人材」であることを実感しています。

横浜は30もの大学を擁し、なかでも理工系大学・大学院が9校あり、産学連携による共同研究が活発に行われ、専門的・技術的職業従事者数は国内トップクラスです。実際に進出いただいたご企業の皆様からも、「人材が集めやすくなった」という評価をいただいており、こうした「知の集積」は横浜の大切な財産です。今後も学術都市横浜として、大学の研究活動と人材育成をご支援してまいります。

──交通面、人材面で優位性を持つ横浜に、企業は比較的リーズナブルなコストで進出できるというわけですね。

【林】横浜の主要なビジネス地区の平均オフィス賃料は、東京よりも、20%~40%安くなっています。コスト管理に厳しいご企業の皆様から、東京よりハイスペックで広いオフィスを借りられるという事で、横浜をお選びいただいています。

──外国人にとっても、働きやすさ、暮らしやすさ、という点で横浜は魅力的ですよね。

【林】横浜は、開港以来、国内外から多くの人を受け入れ、発展してきました。異文化と多様性を尊重し、外国人の方が暮らしやすいコミュニティが育まれています。

教育面では、市内に外国人学校が10校もあり、生活面では、外国語対応が可能な病院が立地するほか、受診する際の医療通訳ボランティアの派遣も行っています。市内中心部や駅には、英語など3か国語を併記した案内サインが整備され、外国人社員とそのご家族が、安心して暮らせる環境が整っています。

さらに、ウォーターフロントの美しい街並み、緑豊かな自然、多彩な文化芸術活動、世界最大級の中華街といった、魅力と活力溢れる横浜の暮らしは、多くの人を惹きつけています。このような環境をご評価いただいて、外資系企業の皆様にも、数多くご進出いただいています。