持株会社化した現地法人は
いまや「第二本社」に

デンカの吉髙紳介社長。創業100周年を迎えた今年10月、社名をデンカに変更した。

デンカは日本で研究開発を行い、 製造技術を確立した後、シンガポールを中心に工場を建設。市場動向を見きわめ、製品の多様化や高度化、高付加価値化に対応している。高品質なものづくりを掲げる同社は、海外での高付加価値事業の拠点をシンガポールに置くことで常に高い競争力を維持してきた。 一方、デンカにとって、厳しい価格競争にさらされる製品の工場は必ずしもシンガポールである必要はない。実際、同社はベトナムに2つの工場を置き、マレーシア企業も買収している。だが、その司令塔はシンガポールでなければならないと吉髙氏は語る。

「すべてシンガポールの現地法人がホールディングカンパニーとなって投資しています。この現地法人が東南アジア本社となり、シンガポール、マレーシア、ベトナムの工場をすべて傘下に置き、ファイナンス面も含めて、すべてコントロールできるのが強みです。M&Aにせよ、工場新設にせよ、日本から資金を持っていく必要はありません。シンガポールの現地法人はデンカのいわば“第二本社”のような存在です」

シンガポール南西部・ジュロン島にあるデンカのセラヤ工場。同社のスチレン系樹脂の一大生産拠点となっている。

デンカはいま世界に5309人の従業員を擁し、2015年3月期の売上高は3839億7800万円、経常利益は242億8700万円の世界企業である。海外売上高比率は約40%、創業100周年を迎え、同社では海外での売上高比率を50%に高めることを目標にしている。

「今年は当社が創業100周年、シンガポールは建国50周年という節目の年。シンガポールに進出してから35周年でもあります。シンガポールの発展とともに当社のグローバル化が進んだと言ってもいいでしょう」

シンガポールに東南アジア本社というグローバル化の司令塔を確立、大きな節目を迎えたデンカ。次なる飛躍の100年が始まったばかりである。

シンガポール経済開発庁(Singapore Economic Development Board : EDB)は貿易産業省傘下の政府機関で、「外資系企業誘致のワンストップセンター」として、進出に際してのさまざまなサービスを提供。日本には、東京に事務所を構え、日本企業のシンガポール投資をサポートしています。

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