重工業都市の歴史が
人材面で力を発揮
日本ロバロでは、風力発電設備に不可欠なベアリングを製造しています。2009年、他の用地と比較した上で、響灘地区に工場を建てた理由の一つは、輸送面での優位性。風力発電用のベアリングの直径は3m超あり、今後本格化する洋上型のものでは5mほどにもなります。複数受注で数十個を納品するとなれば、現実的には海上輸送しか考えられません。また、一部の部材は海外からコンテナ船で輸入もしているため、港湾施設の存在は必須でした。
一方、製造工場は24時間稼働ですが、実はこの点でも北九州市への立地がメリットをもたらしています。重工業も盛んな土地柄から、工場運営への理解度が高く、人材の確保も非常にスムーズ。地域の歴史が事業活動に大きな影響を与えることを実感しています。同じ分野の事業者との情報交換の場も北九州市によって設けられ、すでに風力発電のメンテナンス企業と連携が始まりつつあります。
ドイツに本社を置く当社は、世界的ベアリングメーカー。大型製品の分野で日本国内シェア7割超を持つ企業として、今後も確かな役割を果たしていければと考えています。
充実したインフラと
市の支援体制が決め手
バイオマス発電所用の燃料をストックし、国内各地の発電所に供給する──。当社は、そのための日本最大の備蓄集配基地を響灘地区に建設する予定です。海外から燃料を輸入するため、最大5万トンクラスの貨物船の入港が可能で、港湾の隣接地に7ヘクタールに及ぶ施設を建てられる用地を確保できる。そうした点で、響灘地区は非常に魅力的でした。
ただ、当社が北九州市を選択した理由は、単にインフラ面が充実していたからだけではありません。何より、市が私たちの事業を評価し、支援を表明してくれたことが大きな決め手となりました。燃料集配基地の建設には、検疫や通関など多様な問題が関係してくるため、自治体との連携が非常に重要。ここがうまく行かないと、計画がなかなか前に進みません。その点、北九州市は市役所の窓口を一本化し、計画を実現するための体制を整えてくれました。
さらに、同じ響灘地区でバイオマス発電所の建設にコンサルタントとしても関わってまいります。エネルギー源の多様化とCO2の削減。この日本の重要な課題に応える再生可能エネルギーの拠点づくりを必ずや成功させたいと思います。