メンテナンスも考慮して
信頼できる製品を選ぶ

太陽電池の今後について、太和田氏は次のように考えている。

「市場の活発な動きにも牽引され、今後もイノベーションは続くでしょう。10年、20年後、思いもよらない素材の太陽電池ができているかもしれません。いま主流の結晶シリコン製も、研究段階では変換効率が長年の目標であった25%を超えました。いずれは発電コストも10円/kWhを下回る日が訪れることでしょう」

半面、「太陽電池は設置したらメンテナンスフリーのようなイメージもあるが、そこは要注意」と促す。

「太陽電池が電子部品である以上、一定の故障率はあるわけです。故障を早期に検知し対処することが、健全な市場形成のためにも極めて重要ですね。定期点検を行うに越したことはないし、購入する段階で、信頼の置ける製品を選んでほしいと思います。太陽電池本体はもちろんですが、価格を抑えるために架台や設置器具の質が不十分となるケースもあり、屋根からの落下事故などが懸念されます。少なくとも価格だけを基準に選択しないほうが安心でしょう」

再生可能エネルギーが
今後の社会の切り札に

太陽光をはじめとする再生可能エネルギーは、全人類が必要とする電力の7~8割を賄うほど大きなポテンシャルを持つという。

「太陽光発電は夜間は無理なので、風力発電や地熱バイナリー発電の拡充も望まれる」と太和田氏。地熱バイナリー発電とは、地下からの高温の水蒸気でタービンを回すのでなく、より低温の温泉水などを使って沸点が低いアンモニアやペンタンの蒸気をつくり、タービンを回す方法だ。

こうした再生可能エネルギーによる電源の多様化に対し、グローバル社会からのニーズが今後ますます高まっていくことは間違いない。

「経済の活性化に伴って、一般的にエネルギー、なかでも限りある化石燃料の消費は増加します。すると環境破壊も進むことになる。つまり我々は、経済成長(Economy)、エネルギーの安定確保(Energy)、環境保全(Environment)を同時には実現できないという、3つの“E”のトリレンマをずっと抱えてきたのです。しかし、さまざまな再生可能エネルギーの有効活用は、トリレンマ解消の切り札となる可能性を持っている。そのことを強調したいと思います」