75年の長きにわたり、建設コンサルタントとしてインフラの領域で確かな実績を重ねてきたパシフィックコンサルタンツ。10月1日、新たなリーダーに岡野郊子氏が就任した。膨大なノウハウや技術、数々の大規模プロジェクトにおいて公民の多様な関係者を取りまとめてきた経験を生かし、これまでの枠にとらわれない「社会課題解決のパートナー」として次の社会の基盤づくりに貢献していく。岡野氏が見据えるのは、どんな未来なのか――。
パシフィックコンサルタンツ株式会社
1951年創立。建設コンサルタントとして都市・建築・鉄道・道路・空港・港湾・河川・上下水などのインフラ整備、まちづくりの計画・設計・運営を担う。「未来をプロデュースする」をビジョンに、誰もが安心して暮らせる持続可能な社会を目指す。
岡野郊子(おかの・さとこ) 1991年入社。ランドスケープ、まちづくり、PPP事業、プロジェクト統括、内部監査、人材戦略など幅広い業務を経験。現場と経営の双方を熟知し、人と技術の力を生かし、社会課題の解決を通じた企業価値向上を推進している。2026年10月より現職。
岡野郊子(おかの・さとこ)
1991年入社。ランドスケープ、まちづくり、PPP事業、プロジェクト統括、内部監査、人材戦略など幅広い業務を経験。現場と経営の双方を熟知し、人と技術の力を生かし、社会課題の解決を通じた企業価値向上を推進している。2026年10月より現職。

建設コンサルタントという業界は、一般の方にはあまりなじみがないかもしれません。私たちが主に手掛けているのは、誰もが日常的に利用する道路や鉄道、河川、上下水道、駅前広場や公園など、皆さんの日々の生活を支え豊かにする「インフラ」と呼ばれるものです。整備計画の策定から調査や設計、施工監理までを担い、国や自治体と共に、人々の暮らしを支えるインフラの価値を高め、地域や社会が抱える課題の解決に貢献することが私たちの役割です。

当社は今年、創立75年を迎えました。戦後復興期から、高度経済成長、バブル経済、低成長時代へと移り変わる中で、人口減少や少子高齢化、地方の衰退、激甚化する自然災害やインフラの老朽化といった、いくつもの深刻な課題が顕在化しています。パシフィックコンサルタンツの歩みは、まさにこうした社会の動向や課題解決と密接にリンクしています。鉄道や道路などの都市基盤の整備に加え、景観や環境、にぎわいにも配慮した空間づくりを通じて、人々の暮らしを支え、地域の価値向上に貢献し、近年は脱炭素をはじめとするエネルギー問題やデジタル技術に対応するソリューションの拡充を推進しています。時代の要請に合わせて事業領域を柔軟に広げ、多様な課題と正面から向き合い乗り越えてきた経験の蓄積こそが当社の礎であり、次の進化を実現していくための基盤でもあります。

公民をつなぐ「翻訳力」と全体像を捉える「総合力」

国や自治体が主導することが大前提だったインフラは、財政面の厳しさや職員のリソース不足を受けて、PPP/PFI(公民連携)などを通じて「民間の知恵や技術を活用する」アプローチへの関心が高まっています。実際、民間企業が主導して大規模施設を整備・運営し、地域創生を進める事例なども増えています。民間企業の参入が加速していくこれからの時代に、当社が果たすべき新たな役割とは何でしょうか。従来の受託型の技術提供にとどまらず、多様なステークホルダーとパートナーシップを構築し、持続可能なインフラサービスを提供していく――その中心となって、新たな仕組みの構築に貢献していきたいと考えています。

例えば、民間企業がインフラ事業に参入する際に大きなハードルとなるのが法的なルールや規制、複雑な自治体への申請手続きなどです。長年にわたりこの領域に携わってきた当社は「どのような手続きが必要か」「どのタイミングで誰と調整すべきか」を熟知しています。いわば公民の間にある「言語の違い」を正しく理解し、翻訳してパートナーに共有することでスムーズな合意形成を支援できる点は、大きな強みだと捉えています。また、当社には、さまざまな専門家がいるからこそ発揮できる「総合力」があります。渋谷や新宿で進行している再開発でも、構想から計画、事業化、運営までを見据えながら、多様な専門的な知見を結集してプロジェクト全体をけん引しています。

オーダーメードの発想でさまざまな課題と向き合う

当社が思い描く進化の姿は、私自身のキャリアとも重なり合っています。入社直後に担当した横浜市の環状2号線の整備では、さまざまな分野から集ったプロフェッショナルが知恵を絞って1本の道路を完成させる現場に身を置き、感銘を受けました。またランドスケープデザインの技術者として、自分の図面が実際の空間となり、人々が集い豊かな時間を過ごす姿を見ることは、大きなモチベーションとなりました。さらに視野を広げるきっかけとなったのが、インフラをつくるだけでなく、「運営する」側へも参画したことです。茅ヶ崎市の柳島スポーツ公園PFI事業では、提案段階から地元企業とチームを組み、設計、建設、開業後の運営や維持管理まで伴走しました。

これからの時代、日本のインフラはただつくる時代から「どう活用し、維持・管理していくか」という新たなフェーズへ本格的に移行します。利用する住民やエンドユーザーにどのような価値を届けられるか。地域ごとの課題や風土に応じたオーダーメードの発想で、地域経済の循環や福祉への還元まで見据えた持続可能な地域経営に貢献していくことこそが、私たちが目指す新しい「インフラサービス」の形です。

今や、自治体や企業が単体で複雑な社会課題を解決することは困難です。私たちがインフラ分野で培ってきた専門技術や総合的なノウハウを、今後も公民連携や地域経営をはじめ、さまざまな領域で広く発揮していきたいと考えています。その先に私たちが目指しているのは、新たな社会価値を創造していくことです。その実現を支えるのは人の力です。多様な人材が成長し、共創できる環境を大切にしながら、パシフィックコンサルタンツと一緒なら、より良い未来を創ることができる。そう思っていただける企業へ進化していきます。