研修を増やしても、育成成果が見えない理由
「人材育成は本来、経営の視点から逆算して考える必要があります。『何年までに、どのような人材を、何人そろえるのか』から『そのために何を学び、どう実践してもらうのか』までを育成のサプライチェーンとして接続して、初めて育成の成果が見えてきます」
そう話すのは、グロービスでGLOPLA事業を統括する事業責任者の松尾卓哉氏だ。
株式会社グロービス GLOPLA事業開発室 事業責任者
人材育成は、「何のために、誰を育てるか」を設計する育成企画、必要な知識やスキルを身につける学習、学んだ内容を現場で活かす実践という流れで捉えられる。そして重要なのは、その実践が事業・組織成果につながったのかまで確認することだ。これが、育成がサプライチェーンとして、川上から川下までつながっている状態である。
ところが、多くの企業では、このどこかが途切れている。経営課題に対して必要な人材像が明確でない。人材像は描けても、具体的な育成計画に落とし込めていない。研修後に学びが現場で実践されているか分からない。さらに、その実践が事業・組織成果にどうつながったのかまで見られておらず、育成そのものの成果を把握できていない。
「問題は、育成施策が足りないことではありません。育成企画、学習、実践、事業・組織成果までが一連の流れとして接続されていないことにあります。それぞれの施策をつなげて、ボトルネックを解消しながら、結果を次の育成施策や人材戦略の見直しにつなげることが重要です」と松尾氏は指摘する。
「受けたか」の管理から、「成果につながったか」の評価へ
では、育成プロセスをどうつなぎ直せばいいのか。GLOPLA導入の実務を担当し、多くの企業の声を聞いてきたチームリーダーの仲岡辰典氏はこう話す。
株式会社グロービス GLOPLA事業開発室 Bizチームリーダー
「大切なのは、学習の前後がつながっていることです。誰が何を学び、それを現場でどう実践し、その結果が事業・組織成果にどうつながったのか。その一連の流れを捉えられなければ、人材育成の成果を正しく評価することはできません」
従来のLMSは、誰がどの研修を受けたか、受講が完了したかといった「学習管理」を効率化することに強みがある。しかし、受講履歴だけでは、学びが現場でどう実践され、その実践が事業・組織成果にどうつながったのかまでは分からない。
GLOPLAが目指すのは、その先だ。経営・事業に必要な人材像を起点に育成テーマを定義し、学習と実践をつなぐ。さらに、その実践が事業・組織成果にどうつながったのかを捉え、育成の成果を評価し、次の施策や人材戦略へ反映していく。
つまりGLOPLAが支援するのは、研修管理だけではない。人材戦略から育成企画、学習、実践、事業・組織成果までをつなぎ、その結果を次の育成施策や人材戦略へ反映するための基盤づくりだ。
人材育成を「研修」から「経営戦略」へ
もっとも、データやシステムを整えれば、自動的に育成DXが進むわけではない。「どの人材を育てるか」「何を成果とするか」「事業・組織成果とのつながりをどう捉え、次に何を変えるか」は、企業ごとの経営戦略や事業課題によって異なる。
現在GLOPLAでは、育成DXの考え方や実践事例をまとめたホワイトペーパーを無料公開している。また、「LMSが受講管理で止まっている」「育成投資の成果を説明できない」「経営戦略から育成体系を見直したい」といった企業からの個別相談も受け付けている。自社の育成プロセスのどこで接続が途切れているのかを整理することが、次の一手につながる。