家族だけで抱え込まない
もうひとつ大切なのは、家族だけでなんとかしようとしないことです。
希死念慮や自傷が起きている場合、子どもが親に話すことをあきらめてしまっているケースも多々あります。
家庭環境や親子関係そのものが、本人にとっての「つらさ」の一部になっている。家族がよかれと思ってしている励ましや注意が、プレッシャーになってしまうこともあります。
しかし、こうした関係のあり方やその影響は、当事者同士では見えにくいものです。だからこそ、第三者の視点をとり入れる必要があります。
家族自身もまた、わが子がこのような状態におちいったのは「自分のせいではないか」と悩み、だれにも話せず、孤立しやすい立場にあります。そんな状態で支え続けることは、大きな負担です。
支援は、ひとりで、あるいは一家庭だけで背負うものではありません。医療機関や相談機関、学校などと連携しながら、チームで関わっていくものです。
第三者が入ることで、親子ともに「家族以外にも頼れる人がいる」という安心が生まれます。
家族がひとりで背負わなくていいということ、そして、必ず頼れる先があるということを知っておくことが、大切な心がまえです。
「話せる関係」をつなぎとめる
「死にたい」と打ち明けてくれたことに対し、どのように応答するかで、その後の関係が大きく変わります。大切なのは、自傷を止めることよりも、話せる関係をつなぎとめることです。
「死にたい」という言葉は、長く抱えてきた苦しさの末に、ようやく表に出すことができたものです。本人は「こんなこと言ってはいけない」と思いながら打ち明けています。
まず、話してくれたことを感謝の気持ちで受け止めること。評価や判断は不要です。助けを求めようとした行動を支持してください。
「自殺なんていけない」「そんなこと考えちゃダメ」「もっとがんばればいい」。こうした、いかにも正しそうな言葉は、本人の「わかってもらえない」という感覚を強めてしまいます。
また、「もうしないと約束して」と迫るのも注意してください。
一時的にその行動を抑えることはあっても、本人の抱えている苦しさそのものは消えることがありません。ふたたび希死念慮がわき起こったときには、以前より強く心を閉ざしてしまうかもしれません。


