変革のDNAを原動力に機動力を発揮する
――就任以降、太田社長が注力してきたのはどのような点ですか。
【太田】30年という一つの節目を迎えましたが、感覚としては、当社は「若い会社」だと思っています。過去の実績や従来のやり方に固執せず、創意工夫とチャレンジを重ねていく。そんな変革のDNAが根付き、常に新しいものを生み出してきた自負があるからです。私が就任した2012年当時、保有契約件数は約20万件の小さな組織でした。乗り合い代理店チャネルへの本格シフト、ネット販売の開始、各種インフラの刷新などドラスティックな変革を迅速に実行してきました。市場の反応から学習し、磨きをかけていくサイクルが当社の成長の土台です。その結果、現在の保有契約件数は173万件超、新契約年換算保険料は年間141億円に上ります。(※1)
※1 2025年度決算報告より。
――8月、変額保険(※2)2商品を同時発売。商品ポートフォリオ再編の狙いはどこにあるのでしょうか。
【太田】人生100年時代にお客さまが直面するのは、長生きに伴う資産枯渇などの「生存リスク」です。「保障」と「資産形成」を両立させたいというニーズが強まる中、当社としてもこの課題に向き合うべく、医療保険やがん保険などの「第三分野」に加え、死亡保障などを担う「第一分野」との多角化を本格化させています。
25年4月に販売を開始した変額保険「フューチャーリンク」の手応えを踏まえ、さらに進化させたラインアップとして今年8月、「フューチャーリンクII」と、中小企業経営者の皆さまに向けた法人契約専用の「フューチャーリンク定期」を同時発売しました。「定期保険プラチナ」や昨年12月に発売した「収入保障保険プラチナ」も含めて、個人・法人のお客さまを支えるフルラインアップが完成しました。
グローバルの知見が支える「高品質・低コスト」の価値
――グローバルな知見はどのように生かされていますか。
チューリッヒ生命保険株式会社
代表取締役社長 兼 CEO
ソニー株式会社でのキャリアスタート後、ジェミニ・コンサルティングのシニアパートナー兼東京オフィス金融サービス部門責任者、AIGリージョナル・バイス・プレジデント(日本・韓国生命保険4社統括)などを歴任。アリコジャパン(現・メットライフ生命)では執行公認副社長として3000人規模の組織を統括。2012年より、チューリッヒ生命の日本における代表者(現・代表取締役社長 兼 CEO)を務める。米スタンフォード大学MBA。
【太田】世界有数の保険会社であるチューリッヒ・インシュアランス・グループは、変額保険の分野においても膨大なノウハウを蓄積してきました。豊富な知見をベースに、日本市場向けに最適化した商品を提供し、特別勘定には、複数の特徴的なファンドを厳選して組み込んでいます。また、「コスト効率」も特徴です。無駄なコストを排除し、運用に関わる費用を抑えています。資産運用においては、わずかな手数料の違いが20年、30年という長期の複利効果によって、将来的には受取額の大きな差を生みます。高品質な運用を低コストで提供する、この両立こそが当社独自の価値を生んでいます。
――販売チャネルの面ではどのような戦略を打ち出しますか。
【太田】商品が進化すれば、販売戦略もそれに即した形にして広げていかねばなりません。20年以降を「第三の創業期」と位置付け、チャネルの見直しを推進してきました。乗り合い代理店市場での競争が激化する中、私たちが注力したのが、専門知識と地域密着型の強みを兼ね備え、高い生産性を発揮するプロフェッショナル代理店「ICA(インディペンデント・キャリア・エージェンシー)」の開拓です。21年のゼロスタートから、いまや700店を超え、当社の新契約のうち40%を占めるまでに成長しました。これに加えて、ダイレクト販売の強化や他社との業務提携を通じた販売網の拡大など、強固なマルチチャネル体制を構築しています。
先進テクノロジーが導く人間中心のイノベーション
――マルチAIエージェントによる査定の導入で期待できる効果は。
【太田】マルチAIエージェントを組み込んだ新契約査定システム「New Business 2.0」の導入を開始しました。医務査定、環境査定、モラル査定、情報集約などの各カテゴリーに特化した12体のAIエージェントが担当領域のデータを分析するなど、査定者の意思決定をサポートします。本システムの導入により、自動査定率を60%に向上させ、手動査定の案件においてはマルチAIエージェントの活用により、査定業務に要する時間を77%に短縮させることを目指しています。申し込みからご契約成立まで、より早く「安心」をお届けできるようになります。イノベーションの本質は単なる効率化ではありません。システム化で生み出した時間を、人間にしかできない温かみのあるコミュニケーションの最大化などに振り向けることが重要です。従業員の「ゆとり」は、お客さまへのサービスの質の向上などへ還元していきたいと考えています。
――今後についてお願いします。
【太田】引き続きシェア拡大に努めますが、それは真のゴールではありません。チューリッヒ生命が果たすべき約束は、お客さま一人一人にとっての「ナンバーワン」になることだと考えています。保険業界にも大きな変化の波が訪れ、各社が事業の多角化などに乗り出す現在、私たちは引き続き、万が一の際や満期を迎えた時に保険金等をお支払いするという、保険会社としての原点にこだわっています。例えば顧客満足度を測定する指標「tNPS®(トランザクショナル・ネット・プロモーター・スコア)」を取り入れ、自分たちを客観的に評価することを徹底しています。また、お客さまから届くお手紙を社内で共有し、チューリッヒ生命の存在価値はどこにあるのか、常に再確認しています。
先行きが見通しにくい時代、特に経営層の皆さまにとって、ご自身とご家族、企業の未来を守るための「賢いリスク管理」と「確かな資産形成」は生命線です。人生とビジネスに保険で寄り添う最高のパートナーになれるよう、進化を続けていきます。

※2 変額保険は、特別勘定の運用実績により、損失が生じる恐れがあります。また、お客さまにご負担いただく費用があります。お申し込みの際には、「契約締結前交付書面(契約概要/注意喚起情報)」「ご契約のしおり・約款」「特別勘定のしおり」を必ずご確認ください。