金の価格は上昇局面にあるが、それにともないゴールド投資の費用も上がるのか。ファンドアナリストの篠田尚子氏と、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、ゴールド・ストラテジストのアーロン・チャン氏に聞いた。

――金価格は2万円台が続いており、ゴールド投資のハードルが上がっていると感じます。

【篠田】金は、昔から「高い」と言われ続けています。特に最近は、金の人気が高まっていますし、価格が上がるたびニュースになって注目されるので、余計にその傾向が強くなっているように感じます。しかし、発想を転換することが必要です。長期の資産形成で一番やってはいけないのは「価格を追うこと」。これは短期で利益を得たいという衝動に駆られる行為です。長期の資産形成では、価格を追わず、「価値を積み上げる」ことを考えてほしいですね。金の価値を自分の資産に取り入れ、積み上げるという発想です。

【チャン】その通りですね。長期的に見ると、経済が成長して物価が上昇するにつれて世界中で通貨の価値は徐々に下がっていきます。一方、金は無限に生み出すことのできない希少な資産であり、その供給量には限りがあります。そのため、長期的には通貨価値の希薄化の影響を受けにくく、購買力を維持しやすい資産として認識されています。

2025年のように金価格が大きく上昇する局面では、投資のタイミングに悩まれる方も少なくありません。しかし、相場の転換点を正確に見極めることは容易ではないため、積立投資は有効な選択肢の一つと考えられます。積み立てであれば、金価格に左右されず毎回一定額で投資を続けられるので、「価格が高いから始められない」と考える必要はありません。

――積み立てで少額投資を始めるなら、どのような購入方法がいいでしょうか。

篠田尚子(しのだ・しょうこ) ファンドアナリスト
ファンドアナリスト
篠田尚子 Shoko Shinoda

【篠田】現物の金も小口で購入することはできますが、小さなコインなどに加工するとその分の加工料や手数料がかかるため、小口になればなるほど割高になる傾向があります。対して、純金積立やゴールドETFは、現物を購入・保管するのとは異なる仕組みを利用することで、比較的少額から投資を始めることができます。

【チャン】ゴールドETFは、金の価格に連動するよう設計された上場投資信託です。実際に金を保有して金の現物価格に連動している「現物型」と、金先物取引で連動を目指す「先物型」があります。先物型の場合は、実際の金価格とは乖離が生まれることがありますが、ステート・ストリートのゴールドETFは現物の金を保有する現物型です。また、保有する金は専門の第三者カストディアン(投資家の代わりに証券を保管する金融機関)によって厳格に保管・管理されており、保有金残高や保管先、さらには金地金のシリアル番号まで開示するなど、高い透明性を維持しています。

【篠田】ゴールド投資というと、昔は延べ棒やコインなどの現物投資のイメージが強く、富裕層の資産保全、「守り」のための投資対象だと捉えられていました。しかしここ20年ほどでゴールドを対象としたETFなどが増え、さらにNISAが普及したことで、「まとめて買って価値を保全するための資産」というよりも、「分散投資を目的に、少しずつ積み立てて資産形成に組み入れる対象」に、意識が変化しています。このため私に寄せられる質問も、積み立てを前提にして「ゴールドETFと純金積立ではどちらがいいか」に変わってきています。

――両者の違いを教えてください。

【チャン】大きな違いは「現物と交換できるか」と「コスト」の二つです。まず、純金積立は、積み立てた分を金の現物と交換できますが、ゴールドETFは一般的に現物と交換することができません。ただ、純金積立を現物に交換する際は手数料がかかるので注意が必要です。

長期投資して資産形成を行う場合は、保有期間中にかかり続けるコストができるだけ低いものを選ぶことが重要なのですが、純金積立のコスト水準は提供会社ごとに異なります。購入手数料や年会費、保管料などの費用負担が大きくなると、長期的な運用成果に影響を及ぼす可能性があります。ゴールドETFの方がコストは抑えられるでしょう。

さらに、ゴールドETFは売値と買値の差(スプレッド)が純金積立に比べて狭い傾向があるので、売買コストも抑えられます。

【篠田】「どうしても現物で保有したい」といった思いがあれば別ですが、資産形成の観点ではETFの方がコスト面でも有利ですし、NISAが使えるものもあるのでお勧めですね。

商品選びは「流動性」にも注目を

【篠田】近年は複数のゴールドETFが出ていますが、内容はさまざまです。特に現物の金を裏付けとした商品は、しっかりとした運用体制を持っていないと難しい。ステート・ストリートはゴールドETFのパイオニアであり、世界中でゴールドETFのプレイヤーとして認知されていますね。

【チャン】はい。ステート・ストリートの「SPDR® ゴールド・シェア」は、2004年に米国初の金の現物を裏付けとするETFとして生まれ、今やゴールドETFを代表する商品に成長しています。運用資産総額は約1300億ドル、日本円で約21兆円と世界最大(※)で、世界で最も取引されています(※)。SPDR® ゴールド・シェアと、2018年に設定・上場された「SPDR® ゴールド・ミニシェアーズ」を合わせると、世界のゴールドETFのシェアの3割(※)を占めます。※出所:ブルームバーグ・ファイナンスL.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。2026年6月30日時点。

ステート・ストリートのSPDR®(スパイダー)ETF
出所:ワールド ゴールド カウンシル、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。2026年6月30日時点。1米ドル=162.55円で換算。ETP:上場取引型金融商品は、上場投資信託(ETF)、オープンエンド型投資信託、クローズエンド型投資信託(CEF)、SICAVを含みますが、これに限定されないすべてのファンド構造を指しています。

【篠田】マーケットへの供給量が多ければスプレッドが狭くなるので、取引のコストが抑えられます。また、買いたいときに買いやすく、売りたいときに売りやすいため、ETFや株式の取引をする場合は、流動性に着目することが大切です。

――流動性が高い商品を選ぶべきなのは、なぜでしょうか。

【チャン】ETFは、一般の投資家が売買する「流通市場」と、ETFを新たに設定・償還する「発行市場」という二つの市場があります。ETFの価格が現物の金価格から大きく離れると、発行市場でETFの設定や償還が行われることで価格差が調整される仕組みがあります。しかし、その仕組みが十分に機能するためには、ETF自体の流動性に加え、その裏付け資産である金市場の流動性も重要です。一般的に、取引が活発なETFはスプレッドが小さくなるため、実際の金価格により近い価格で取引されやすいという特徴があります。

【篠田】投資家にとっては、余計なコストを抑えながら取引できるというメリットもあります。

――ゴールドに関連する有価証券というと、ETFと投資信託があります。どのような違いがありますか。

【篠田】ETFは上場投資信託のことで、投資信託は一般的に非上場投資信託を指します。ETFは上場しているので、市場の取引時間中はリアルタイムで需給によって価格が変化します。一方投資信託は、1日1回公表される基準価額をもとに取引します。また、コスト構造が異なるので、一般的に投資信託よりもETFの方が、表面的な信託報酬は低い傾向があります。

投資信託が銀行と証券会社のどちらでも購入できるのに対し、ETFは証券取引所に上場しているため、証券会社に口座がないと購入できません。そのため、これまでは投資信託の方が一般的でしたが、最近は証券会社に口座を開設する人が増えたこともあり、ETFの認知も高まってきました。

【チャン】ゴールドの商品に目を向けると、ほとんどのゴールドの投資信託は、実際は直接ゴールドに投資しているのではなく、ゴールドETFに投資しています。

【篠田】大まかにいうとゴールドの投資信託よりもゴールドETFの方がゴールドの現物価格との連動性が高いので、素直にゴールドの価値を享受できるといえますね。

【チャン】ただ、日本では長く投資信託が親しまれてきたという背景もあり、私たちもゴールドETFに加え、ゴールド投資信託もご用意しています。

アーロン・チャン ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント ゴールド・ストラテジスト
ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント
ゴールド・ストラテジスト
アーロン・チャン Aron Chan

ゴールドの商品としては六つのラインナップがあります。

まず、ETFとしては、さきほどもご紹介した「SPDR® ゴールド・シェア」があります。非常に流動性が高いことから、特に大口の取引を行う機関投資家にとって、魅力ある商品になっています。米国・ニューヨーク証券取引所アーカ市場(銘柄コード:GLD®)と、東京証券取引所(銘柄コード:1326)で重複上場しており、東証で購入する場合は日本円での取引が可能で、NISAの成長投資枠にも含まれています。GLD®については一部の証券会社においてNISAでの取り扱いができない場合もあります。

「SPDR® ゴールド・ミニシェアーズ」は、「より経費を抑えたゴールドETFを」というニーズに応えて2018年に設定・上場されました。総経費率0.10%と、SPDR® ゴールド・シェアよりもさらに低いコストで投資することができるので、長期保有による資産形成を考えている個人投資家に人気です。米国・ニューヨーク証券取引所アーカ市場(銘柄コード:GLDM®)に上場しており、証券会社で外国証券取引口座を開設すれば、米ドル建てによる取引が可能です。

2025年11月に東京証券取引所に上場したETFとしては、「ステート・ストリート・スパイダー ゴールドETF(為替ヘッジなし)」(銘柄コード:447A)と「ステート・ストリート・スパイダー ゴールドETF(為替ヘッジあり)」(銘柄コード:448A)があります。これらは、主にSPDR® ゴールド・ミニシェアーズに投資するETFで、いずれもNISAの成長投資枠の対象になっており、東京証券取引所への上場から日が浅いこともあり、運用資産総額は相対的に小規模ですが、国内籍かつ現物の裏付けを有する金ETFの中では、最も低い信託報酬水準となっています。

2025年8月に設定したNISAの成長投資枠対象の投資信託「ステート・ストリート・ゴールド・オープン(為替ヘッジなし)」と「ステート・ストリート・ゴールド・オープン(為替ヘッジあり)」もご用意しています。

いずれも業界内で競争力のある低水準の信託報酬なので、低コストでの投資が可能です。

――ゴールド投資に関心を持ったら、まず何をすればよいでしょうか。

【篠田】まずは、ご自身のポートフォリオの中身が似たような資産ばかりになっていないか、確認するところから始めてはいかがでしょうか。投資信託で株式に投資している人は、ここ数年の米国や世界のマーケットの変動を通じて、「異なる値動きをする資産を組み合わせる」という分散投資の意義を実感した人も多いでしょう。そうした分散先の一つとしてゴールドを取り入れるのは、ごく自然な流れだと思います。数千円でも、1万円でも構いません。肩の力を抜いて、まずは「ふわっと」始めるくらいの感覚で十分です。

【チャン】「いつ買うのが得か」というのは、どれだけ調べてもわかるものではなく、見極めるのはプロでも難しいものです。悩むくらいなら、早く始めて、「ポートフォリオの中に、ほかの資産とは異なる値動きをするものを組み入れる」という感覚を早くつかむ方がいいと思います。

【篠田】積み立ての場合は一括投資と違って時間分散が効きますから始めるタイミングにあまりこだわる必要はありません。ただし、早く始めるとより大きな分散効果が期待できます。

当資料は情報提供のみを目的として作成したものであり、金融商品取引法およびその他日本の法律に基づく開示資料ではありません。お申し込みに当たっては、必ず上場有価証券等書面や交付目論見書またはその他の開示書類の内容をご確認の上、ご自身でご判断ください。購入のお申し込みや売買手数料等につきましては、当該ETFや投資信託を取扱いの金融商品取引業者(証券会社等)までお問い合わせ下さい。コモディティ及びコモディティ指数連動商品は、市況全般の変化、金利変動や、天候、疫病、禁輸あるいは政治及び規制といったその他要因のほか、コモディティ現物における裁定業者や投機家の取引行動により影響を受けます。ETFや投資信託を頻繁に売買した場合、売買手数料や他のコストが大幅に増加し、その結果、低いフィーやコストによる節約効果が相殺されることがあります。分散投資は、利益を確保したり、損失回避を保証するものではありません。コモディティ投資には大きなリスクを伴うため、すべての投資家に相応しいとは言えません。

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SPDRゴールド・トラストはGLDに係る、そしてワールド・ゴールド・トラストはGLDMに係る(目論見書などの)届出書面をそれぞれ証券取引委員会(「SEC」)に届け出ています。各ファンドとも1940年投資会社法(「1940年法」)の下で登録された投資会社ではありません。そのため、各ファンドの投資主には1940年法の下で登録された投資会社の株式保有に伴う保護がありません。GLDおよびGLDMは1936年商品取引法(「CEA」)の規制対象ではありません。そのため、GLDおよびGLDMの投資主にはCEAが提供する保護がありません。各ファンドの受益権は株式のように売買され、投資リスクがあり、時価が変動します。GLD受益権およびGLDM受益権の価値は、各ファンドが保有する金の価値(経費控除後)にそれぞれ直接関係しており、金価格の変動が受益権への投資に大幅に不利な影響を与える可能性があります。時価で売買される受益権の売却に際して受け取る価格は、受益権が表象する金の価値よりも多い場合も少ない場合もあります。いずれのファンドもインカムを生じず、各ファンドは継続的に発生する経費を賄うべく金を定期的に売却するため、各ファンドの受益権が表象する金の量は時間の経過とともに相応分減少します。MiniShares®はWGC USAアセット・マネジメント・カンパニーLLCの登録商標であり、WGC USAアセット・マネジメント・カンパニーLLCの許可を得て使用しています。

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投資信託は、値動きのある有価証券等(外貨建て資産には為替変動リスクもあります)を投資対象としているため、お客さまの資産が当初の投資元本を割り込み、損失が生じることがあります。基準価額の変動要因には、金の価格変動リスク/為替変動リスク/流動性リスク/信用リスクがありますが、リスクはこれらに限定されるものではありません。投資信託は1.預金等や保険契約ではありません。また、預金保険機構および保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。加えて、証券会社を通して購入していない場合には投資者保護基金の対象にもなりません。2.購入金額については元本保証および利回り保証のいずれもありません。3.投資した資産の価値が減少して購入金額を下回る場合がありますが、これによる損失は購入者が負担することとなります。

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