相続でもめないためには戦略性が求められる
資産や事業の承継、遺産分割などで家族、兄弟姉妹ともめたくない――。これは誰にも共通する思いだろう。しかし実際には、相続に関わる争い事は増加傾向だ。「令和6年司法統計年報」によれば、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件は1万5379件。平成12(2000)年の数字は9000件弱であったから、この間1.7倍ほどにもなっている。
もめる原因の一つに「分割しにくい資産」の存在がある。特に企業オーナーや資産家の場合、遺産額に占める不動産などの割合が高いことも少なくない。これを誰に、どう引き継ぐかは難しい問題だ。分けるのが難しいからと複数の相続人で共有すると、売却や活用に当たって全員の同意が必要となるなどリスクもある。資産価値を下げずに、全員が納得する方法を探るには相当の戦略性が求められる。
税制改正が節税対策にも影響
戦略性の面では、変化する相続税制への対応も重要だ。例えば「令和8年度税制改正の大綱」では、「貸付用不動産の評価方法の見直し」「不動産小口化商品の評価方法の見直し」などが示された。これらは不動産の相続税評価額と市場価額の乖離を是正する措置で、不動産購入による節税対策に大きな影響を与えることになる。
税務署は「こうすれば節税できる」「こんな特例を適用するといい」といったことは教えてくれない。そうした中では、確かなノウハウを持つ専門家を見つけることが大きな意味を持つ。信頼できるプロと共に事前に資産の棚卸しや家族間での話し合い、遺言書の作成などを進めておくのが得策だ。

遺言書というと構えてしまう人もいるが、遺産の分け方を具体的に定めておくことはもめない相続を実現するに当たって重要である。一度書いたら変えられないというものではないので、資産や家族の状況が変化したら、それに応じて改めればいい。
対策が早ければ、それだけ取れる選択肢が増えるのが相続や事業承継だ。先送りにせず、今できることを考えることが第一歩になるだろう。
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