製品と製品以外の両軸で生活者をサポート
TENTIALは、多忙で休息時間を十分に確保しにくい現代人に向けて、「限られた時間で最大効率の回復を目指すパフォーマンス・ガジェット」としてBAKUNEシリーズを展開する。リカバリーウェアの代表格として一度は耳にしたことがある人も多いだろう。イノベーション本部コンディショニング研究所の藤田樹里氏は、「私たちが考えるコンディショニングブランドとは、製品を届けて終わりではなく、24時間365日、生活者のパフォーマンス向上とコンディショニングを支え続ける存在です。製品への高い満足度を得てきましたが、それだけでは解決できない心身の深い課題に対してもさらに一歩踏み込み、応えられる存在を目指してきました」とコンディショニングへの向き合い方を語る。製品の枠を超えて、生活者のコンディショニングを支え続けるために中心的な役割を果たしているのが、2024年7月に立ち上げたコンディショニング研究所プログラム開発グループである。「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」というミッションの下、「コンディショニングの社会実装」を目指す専門チームだ。
株式会社TENTIAL
イノベーション本部
コンディショニング研究所
プログラム開発グループ
開発グループには、上級睡眠健康指導士や管理栄養士、健康運動指導士、元アスリートといった専門家が所属している。具体的な取り組みの一つ目が、企業や自治体、アスリートに向けたセミナーの実施である。働き方やライフスタイルに応じて、今日から実践できる具体策を提示して行動変容につなげることを重視している。二つ目は、ウェアラブルデバイスを活用した睡眠データの可視化と、個々の状態に応じたアドバイスの提供だ。データを基に自身の状態を把握し、改善へとつなげるサイクルを伴走しながら構築する。三つ目は、イベントやツーリズムといった体験型の取り組みである。日常では自身の状態を振り返る機会を持ちにくいため、日常から離れた環境で体の状態を見つめ直す機会を提供し、コンディションへの理解を深め、気付きを促す設計だ。加えて、アスリート向けのリカバリールームの監修など、実践的な環境づくりにも取り組んでいる。「われわれはアパレル企業ではない」と言うのにも確かにうなずける。
こうした取り組みと並行して製品そのものの開発を支えているのが、豊富な経験を積んできた素材のプロフェッショナルの存在だ。商品本部素材ディレクターの佐藤啓胤氏は、美術大学でテキスタイルデザインを学び、無縫製技術を活用したニット設計を起点にキャリアをスタートした。その後、国外の一流スポーツメーカーで機能性素材の開発やアスリート起点の製品開発に従事。帰国後は大手生活用品ブランドで開発ディレクターを務めた、まさに素材分野のプロフェッショナルである。
研究を重ねて実現した疲労回復効果と快適性
そんなプロ集団が英知を結集して生み出した最新モデル「BAKUNE Dry Pro」には、より睡眠のことを考えた、さまざまなこだわりが詰まっている。
一つは、セラミック粒子を練り込んだ特殊機能繊維「SELFLAME®」である。体から発せられる遠赤外線を受けて放出することで血行を促進し、睡眠中の疲労回復が期待できる。
株式会社TENTIAL
商品本部
佐藤氏は「SELFLAME®は一般医療機器として血行促進に必要な遠赤外線輻射機能を担保する繊維です。さらに、睡眠の質には着心地の良さも重要なため、通気性、吸放湿性、吸水拡散性を担保する生地構造にしました。衣服内のムレを軽減するこの設計により、血行促進を行いながら夏場でも快適な涼しさを保つ衣服となっています」と説明する。
もう一つの特長は、ぐっすり眠るために寝返りしやすいパターンを採用した点である。寝返り時の動きを徹底的に研究し、肩や腕回りの構造にこだわった独自のパターンを取り入れた。ウェアに適度な運動性を持たせることで、睡眠時の寝返りによるストレスを軽減している。
なお、このパターン設計に当たっては、社員数名の睡眠時の姿勢を実際に一晩撮影し、そのデータを基に設計が行われたという。
「アパレルの開発では立ち姿勢で採寸するのが基本ですが、スポーツウェアであれば競技中の動きを基に採寸・開発します。この考えを基に、寝た状態でのフィッティングから開発に着手したのが出発点です。実際に寝ている姿勢をパタンナーが計測し、寝返りに適したパターンを作り上げました」と佐藤氏。パタンナーを社内に擁することで設計から検証まで細かな調整を迅速に反映できる体制も同社の強みだ。
休息をコストではなく合理的投資と捉える
かつては徹夜で働くことが美徳とされていたが、その価値観はすでに過去のものとなった。現在では、適切な休息を取り入れながらコンディションを整え、パフォーマンスを最大化することが、ビジネスパーソンにとって不可欠なスキルと位置付けられる。藤田氏は「睡眠は短期的なパフォーマンス向上にとどまらず、疾病予防を含めた中長期的な健康への投資にもつながります。休息は決してサボることではなく、パフォーマンスを高めるための重要な投資です。その認識への転換が求められているのです」と語る。
また、佐藤氏は今後の製品開発について、「春夏、秋冬、通年といった季節に応じた最適な睡眠環境を実現するための素材開発に取り組みたいと考えています。同時に、素材やパターンの設計など開発全体で、コンディショニング研究所の基礎データをより深く反映させることにも今後さらに力を注いでいきたいです」と展望する。
目指すのは、コンディショニングを一部の人だけの取り組みにとどめるのではなく、誰もが当たり前に実践できる文化として根付かせることだ。
その実現に向けて、TENTIALの挑戦は続く。