なぜ正解のように見えて実はよくないのか?

よくない理由は、大きく2つあります。

1つ目は、ゴミ箱ロボット自体が不完全であるという内容が不足していることです。解答の「ゴミ箱ロボットなのに、自分ではゴミを拾えないし見つけることもできない弱さを見せる」という部分を、「ゴミ箱ロボットは自分ではゴミを拾えないし見つけることもできない不完全なものだが」と書き直す必要があります。こう変更することで、完全を求めるロボットとの対照性が明確になり、対立構造に気づいていることを採点者に伝えられる記述になります。問いに書いてある「対照的」「具体的」にも対応します。

大前真由美『中学受験塾 エルカミノがわかる本 元講師が教える「考える力」を育てる塾のすべて』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
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2つ目は、結論が不十分なことです。脆さを「ゴミを拾えない」、強さを「ゴミを拾える」と対照的にとらえていますが、ここで重要なのはただの強さではなく「しなやかな強さ」です。そのため、記述の終わりが「協働を生む」では不十分です。「協働を生む」ことはゴミが拾えるようになる「強さ」かもしれませんが、この問いの答えは「協働によってしなやかな強さが引き出される」ということです。問いの「しなやかな強さ」に応え、「協働を生み出す柔軟な強さを発揮する」と結ぶ必要があります。模範解答のような「弱さを補い合って」まで書ける子は少ないですが、「柔軟な強さ」は必ず入れたい要素です。

生徒たちには、本文中の「脆弱さが露呈される」「協働」といった言葉をきちんと見つけて使えている点を評価したうえで、正しい文章と比べて何が足りなかったのかを指摘していきます。

ここまで細かく指導するのか、と思われた方もいるかもしれません。エルカミノの方針として、難関校の入試では、国語の採点基準はかなりシビアだと考えて指導しています。学校が入試後に公開している平均点や合格最低点を見ても、それがわかります。なんとなく合っているからOK、という採点はしません。