社会環境の変化に伴い、物流倉庫の役割も従来とは大きく異なっている。共働き世代の増加やネットスーパーの利用拡大など、急激に需要が高まっている一方で、事業者には「物流の2024年問題」への対応、サプライチェーン全体での脱炭素化、持続可能性への貢献が強く求められている。今や物流倉庫は単に保管するだけではなく、効率化の後押しとなり、冷凍冷蔵品など多様なニーズを満たす、そんな新たな価値の提供や社会課題解決の機能が不可欠となった。このような時代の流れを敏感に捉え、GX(グリーントランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れた東急不動産の未来志向型物流施設「LOGI’Q」シリーズが広島に誕生する。

広島に冷凍冷蔵対応倉庫を計画 ICや港に近接する好立地

「環境先進物流」を目指す「LOGI’Q」ブランドは日本各地で開発実績を重ねてきた。今回、中国地方初進出となる「LOGI’Q広島」は今年5月末の着工、2028年4月の竣工を予定している。場所は広島高速3号線「観音IC」より約4キロメートル、「吉島IC」より約3キロメートル、そして「広島港」より約5キロメートル。広島県内はもとより、近畿、中国、四国および九州地方をカバーする物流拠点として最適な好立地であり、メインの消費地である広島市街地へのアクセスにも優れている。

建物は5階建てで、1、2階は冷凍冷蔵対応倉庫として、3~5階はドライ倉庫として設計されている。各階にトラックが接車できるようランプを設置し、入居テナントの輸送効率向上を支援する。広島は海産物などの食品加工が盛んで、冷凍冷蔵対応倉庫へのニーズが高い。まさに「LOGI’Q広島」のポテンシャルを発揮するのにふさわしいエリアといえる。完成の際には、エリアの物流に大きなインパクトを与えることになるだろう。

「LOGI’Q広島」の完成イメージ。延べ床面積約2万坪の大型マルチテナント型施設として計画され、幅広いニーズに対応可能な仕様とする。環境認証としてCASBEE S認証などを取得予定。
「LOGI’Q広島」の完成イメージ。延べ床面積約2万坪の大型マルチテナント型施設として計画され、幅広いニーズに対応可能な仕様とする。環境認証としてCASBEE S認証などを取得予定。
「LOGI’Q広島」の地図

新たな社会インフラとして持続可能な物流施設を提案

物流施設のプロジェクトを手掛ける東急不動産のインフラ・インダストリー事業は、「今、日本が直面している社会課題」の解決に挑むことをミッションに掲げている。「明日の日本を支える産業基盤となる施設への投資・開発」、そして「国内トップクラスのエネルギー事業者としてクリーンエネルギーによる脱炭素型の産業施設の開発」に取り組む。

発電所開発から運営、売電までを一貫して行う同社の環境エネルギー事業は、太陽光・風力・バイオマス・小水力を全国で展開。その発電能力は、グループ全体で約2.6ギガワット(25年12月末現在)規模を誇り、30年度には4ギガワットに拡大予定だ。1953年の創業以来培ってきた不動産会社としての開発ノウハウと、国内トップクラスのエネルギー事業者という確固たるポジションを掛け合わせることで、「LOGI’Q」シリーズの展開をさらに加速させている。

今回の「LOGI’Q広島」においても、GX・DXによる事業活動の進化を促すべく、さまざまな先進的な施策を打ち出す。例えば冷凍冷蔵対応倉庫は通常のドライ倉庫よりも電力消費量が多くなる傾向があるが、東急不動産が展開する環境エネルギー事業との連携によって「施設の再エネ100%」を実現する。また、蓄電池に貯蔵した電力は停電時の非常用電力としても利用可能で、非常用発電機と合わせて、有事の際には入居企業の事業継続をバックアップする。さらに、東急不動産の100%子会社である株式会社リエネが提供する再生可能エネルギー100%の「リエネでんき」を建物の部材製作の際に使っているほか、再生材の積極的な活用、雨水の外構利用、EVトラックの充電にも対応した超高速充電器の導入なども特徴的だ。

加えて「LOGI’Q広島」には、未来を先取りした「水素ドローンの離発着拠点」の整備を検討している。離島が多い瀬戸内海はドローンを用いた広域輸配送の優位性が高い。従来のドローンと比較して長距離飛行が可能な水素ドローンは輸配送の手段として最適であり、しかも燃料には、敷地内で発電したクリーン電源を用いて生成した「グリーン水素」を活用予定だ。飛行性能とともに環境に優しいという利点も両立させている。離島の物流における課題解決のヒントと、脱炭素の新たな選択肢として、関心が高まっている。

「LOGI’Q」シリーズの魅力は環境配慮や拠点間の物流の高効率化にとどまらず、より多岐にわたる。従業員の働きやすさや生産性の向上につながる快適な施設内空間の整備、ドライ倉庫、冷凍冷蔵、危険物など、あらゆるテナントのニーズに応える多用途対応、地域と連携した防災拠点としての役割――施設に関わる全ての人・地域・社会全体に価値ある社会インフラづくりを目指し、「新しい時代の持続可能な物流施設の在り方」を発信している。

休憩室には広島県産カキ殻を再利用した内装材など、環境配慮素材を積極的に使用。
休憩室には広島県産カキ殻を再利用した内装材など、環境配慮素材を積極的に使用。

「産業を起点」とした次世代型のまちづくりへ

こうした取り組みを発展させ、東急不動産では「GX、DX、まちづくり」をコンセプトとする産業まちづくり事業「GREEN CROSS PARK(グリーンクロスパーク:GXP)」プロジェクトも進めている。国内回帰の流れの受け皿となる、物流倉庫を核に工場、住宅、商業、交流施設などが一体となった次世代型の産業団地を計画。まずは30年前半に「(仮称)サザン鳥栖クロスパーク」(佐賀県鳥栖市)のまちびらきが予定されているほか、北海道から九州まで、各地で地域と強固な関係性を築きながらGXPプロジェクトが前進している。

約34ヘクタールの広大な敷地に整備される「(仮称)サザン鳥栖クロスパーク」。
約34ヘクタールの広大な敷地に整備される「(仮称)サザン鳥栖クロスパーク」。

生産年齢人口が減少し、労働力の不足が顕在化しつつある現在。物流やものづくりの未来、人々の価値観の多様化、暮らしの変化を踏まえて、いかに企業の成長ニーズに応え、かつ地域の活性化や地球環境保全という難題に挑み、乗り越えるか。その鍵を握る「LOGI’Q」シリーズやグリーンクロスパーク構想への期待は、高まるばかりだ。