技術革新が進展する中でいかに歩留まりを上げるか
――現在、半導体を取り巻く環境ではどのような変化が見られ、どんな課題が生まれているのでしょうか。
東京エレクトロン デバイス株式会社
コーポレートオフィサー
執行役員
PBBU 副BUGM
PB営業本部 本部長
【神本】AI開発などが急速に発展する今、半導体製造の世界では3次元化・集積化が顕著に進んでいます。構造を微細化するだけでなく、チップを立体的に積み上げるなどして、性能の向上や消費電力の低減を図るわけです。加えて使用される材料も多様化している。そうした目覚ましい技術革新の中で計測・検査の分野でも新たな課題が生まれています。
――どのような課題でしょうか。
【神本】半導体の作り方や材料が変われば、当然計測・検査のニーズも変化します。これまで見る必要がなかった部分の計測が求められたり、検査時間や精度の要求が変わったり――。従来の延長線上では対応できない状況が生まれています。また、半導体製造においては歩留まりの向上が非常に重要になります。特に今は多くの要素を緻密に組み合わせて一つの半導体パッケージが作られているため、1カ所で不具合が発生すると全体に影響し、大きな損失につながってしまう。そうした中で欠陥の検出やその発生原因の追究を支える計測・検査装置の役割がいっそう大きなものとなっています。
――この分野における東京エレクトロンデバイスの強みを教えてください。
【神本】端的に言えば、独自の光学処理と画像処理の“擦り合わせ技術”です。半導体の外観検査では、対象に光を当て、反射した光をカメラのセンサーで読み取って画像処理することで異物や欠陥を検出する方法があります。例えば、従来人の目で行っていた作業を自動化する際、単に精度の高いセンサーを用いれば高精度の検査ができるかというと、そうではありません。人間同様に器用に、素早く官能検査を行うには、欠陥ごとに最適な光学・画像処理・AI技術を擦り合わせることが極めて重要です。
また、お客さまの製造工程によって求められる精度や内容が異なるため、お客さまごとに装置をカスタマイズすることも欠かせません。各工程のニーズやお客さま自身も気付いていない潜在的な課題を的確につかみ、それぞれに合致した計測・検査を実現することに私たちはこだわっており、それを具現化する技術力が強みだと考えています。
「何に困っているか」を察知するDNAを持つ
――技術商社のイメージが強い東京エレクトロンデバイスがメーカーとしても顧客の課題解決に貢献していることが分かりました。今後、この事業をどう展開し、成長させていきますか。
【神本】「お客さまは何に困っていて、今後何を求めるのか」。これが全ての活動、発想の原点です。徹底した顧客起点の追求を基本に、お客さまそれぞれの課題を精緻に把握するマーケティング活動と、最適な「見る・測る」を実現する技術探索・開発活動を一つのサイクルとして高回転させ、課題解決力を高めていきたい。これは技術商社というDNAを持ちながら、メーカーとしてものづくりを行う私たちだからこそできる取り組みだと考えています。
――創業以来培ってきた強みにさらに磨きをかけていくわけですね。
【神本】はい。そうして競争力を高めながら、今後は事業領域の拡大も進めていきます。現在提供している半導体ウエハー検査に加えて、半導体デバイスの3次元化・集積化工程の検査も手掛け、事業を伸長させていきたい考えです。実現に向け、さらなる人的リソースの強化やM&Aなどによる知的資本の取り込みにも力を注いでいきます。

半導体製造の変化は新たなビジネスチャンスに
――成長に向け、組織としてどのような姿勢が求められると考えていますか。
【神本】半導体製造の世界が技術革新のただ中にある今、“挑戦すること”の意義がますます高まっていると感じます。では挑戦とは何か――。それは、過去のやり方や考え方に縛られることなく、これまでにないものを生み出していくことだと私たちは考えています。
お客さまから「新しい提案を期待している」との声を頂くことがあります。それは当社に対する信頼の表れであり、うれしいものであると同時に、“いかに難題をクリアするか”と身が引き締まる言葉でもあります。まさにそうしたとき、一人一人の“覚悟を持った挑戦からしか真の解決策は生まれない”との思いでお客さまの課題と向き合うことが欠かせないと思っています。
――最後に東京エレクトロンデバイスの抱負など、ステークホルダーへのメッセージをお願いします。
【神本】これからの社会で半導体が果たす役割は従来とは比べ物にならないほど大きなものとなっていくに違いありません。そうした中、当社は半導体部品を供給する市場、半導体が活用されるIT市場、そして半導体を製造する市場で事業を展開しており、いずれも成長が期待されます。計測・検査装置事業についても、半導体の作り方などが変化している状況は大きなビジネスチャンスです。製造の現場、また研究開発における課題にも目を向け、価値ある解決策を提案していきたいと思います。そうして社会の変革、発展を後押ししていきますので、ぜひ東京エレクトロンデバイスの取り組みにご注目ください。