今年春、ダイナースクラブに、複数の新たなサービスが加わる。誕生から75周年、日本での創立から65周年を迎え、長い歴史を持つ“ハイクラスカード”として知られるダイナースクラブは、なぜ今、サービスの刷新を図るのか。ダイナースクラブカードを発行する三井住友トラストクラブ常務取締役の野泉和宏氏に、その狙いを聞いた。

ほかにない“ユニークな強み”を強化する新サービス

――今年春、ダイナースクラブのサービスが拡充されます。どのような新サービスが始まるのでしょうか。ダイナースクラブには、ダイナースクラブカード、ダイナースクラブ プレミアムカード、ダイナースクラブ ロイヤルプレミアムカードと大きく3種類のグレードがあるそうですが、特にビジネスの第一線で活躍される経営者・役員クラスの方々が多く持つご招待制の「ダイナースクラブ プレミアムカード」に焦点を当ててご紹介ください。

プレミアムカードでは、価値ある体験や学び、交流機会の提供や、時間効率の最大化などにつながる、多彩な新サービスをご用意しました。

もともとグルメサービスに定評がありましたが、今回はさらに、「予約困難店でのグルメ体験」が加わりました。私たちが持つ、多くの名店とのつながりを活かし、普段はなかなか予約が取れない厳選レストランで、メンバー限定の特別なダイニング体験を提供します。ダイナースクラブならではの美食体験が楽しめるだけでなく、会員様同士のビジネスネットワーキングの機会にもなるはずです。

「学び直し」と「時間管理」をテーマにした新サービスもあります。移動中やワークアウト中の情報収集や自己研鑽に最適なオーディオブックの優待は、知的好奇心が高く、多忙なビジネスパーソンにぴったりでしょう。また、効率的な移動を可能にするタクシー配車アプリ「S.RIDE」の優待は、「限られた時間の中でどれだけ仕事を進められるか、どれだけ多くの人に会えるか」が問われるビジネスユーザーの、強力な武器になるはずです。

その他にも、これからゴルフを始めたい方や、ゴルフをビジネスの親睦活動に活用したい方にも気軽にご利用いただける、GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)ゴルフ場予約割引や、ビジネスリーダーの最重要資産である「健康」をサポートする10種のがんリスク検査、オンライン診療・健康相談サービスなども加わりました。

野泉和宏(のいずみ・かずひろ) 三井住友トラストクラブ株式会社 常務取締役(カード企画本部・マーケティング本部 統括役員)
野泉和宏(のいずみ・かずひろ)
三井住友トラストクラブ株式会社 常務取締役(カード企画本部・マーケティング本部 統括役員)

新サービスではありませんが、通常年会費143,000円(税込)の『TRUST CLUB ワールドエリートカード』(Mastercard®ブランド)を年会費無料で付帯できる『ダイナースクラブ プレミアムコンパニオンカード』も、私たちが自信を持ってお届けしたいサービスです。世界最大級の決済ネットワークであるMastercard®が提供するグルメやトラベルなどの各種サービスも利用でき、グローバルでもカードライフの幅がさらに広がります。

※ポイント換算率など、一部のサービス内容が単体で発行するTRUST CLUB ワールドエリートカードとは異なります。

また、経費決済専用の『ビジネス・アカウントカード』は、本会員カードとは別の支払口座を設定でき、複数の経費を一つの明細で一元管理できるため、経費精算業務の効率化も実現します。プライベートと個人事業主としての与信を一本化できる点も、後述する“クラブ”としての意識を持つ私たち独自の強みであり、個人事業主の方にとって心強い特長です。

優待一覧

――なぜこのタイミングで、新サービスの提供に至ったのでしょうか。

背景には、クレジットカード業界全体の環境変化と、それにともないダイナースクラブの強みを一段と強化する狙いがあります。

ダイナースクラブは、長年ハイクラスカードとして質の高いサービスを提供し、クレジットカードの中でも独自のポジションを築いてきました。しかし近年は、他社も多彩な上位カードを展開し、ゴールドカードは当たり前の存在となっています。必然的に、市場全体として付加価値サービスへの期待も高まっており、当社としてもさらなるサービス拡充が不可欠だと判断しました。

ダイナースクラブはその名の通り、75年前にアメリカ・ニューヨークで、7軒のレストランと100人余りの会員により「食事を楽しむ人(ダイナー)のためのクラブ」として誕生しました。その文化は今も受け継がれ、会員・加盟店・発行会社が一体となる“クラブ”意識が他社にはない強みです。だからこそ、その価値を再構築したいと考えました。

また、他社が法人向けや個人向けに注力するなか、ダイナースクラブは創業以来、企業オーナーや個人事業主などのビジネスリーダーを中心に支えてきました。加盟店ネットワークや会員様との関係、与信管理で培ったノウハウを磨き上げ、他社と一線を画すサービス提供を目指し、今回の拡充に踏み切りました。

――ダイナースクラブ プレミアムカードではもともと、会員専用のプレミアムラウンジやトラベル優待、さまざまなダイニング優待などのサービスを提供しており、今回の新サービス追加で、会員のベネフィットがさらに広がりました。例えばこれらを1年間活用した場合、どれくらいのメリットがあるのでしょうか。

ダイナースクラブ プレミアムカードの年会費は税込み165,000円ですが、金額換算できる部分だけでも1年間フル活用すると450,000円以上の価値があります。あくまでもシミュレーション上の数字になりますが、実質280,000円以上のリターンがある試算です。

さらに、予約困難店でのグルメ体験や、名門ゴルフ場の利用などで得られる体験価値やビジネスネットワーク、S.RIDEやオーディオブックの利用から得られる時間価値など、金額に換算できない付加価値も非常に大きいです。

1年間のシミュレーション
※サービスの組み合わせ、金額はあくまでシミュレーション上の数字であり、金額を保証するものではありません。
※近隣施設や一般的な金額を参考に算出した数字です。

「選び、選ばれている意識」がダイナースクラブへの愛着を生んでいる

――なぜ、ここまでの価値提供を実現できたのでしょうか。サービス設計を行う際の思想について、教えてください。

背景には、ダイナースクラブカードの収益構造のユニークさがあります。ダイナースクラブは、会員様が加盟店でカードを利用したときに加盟店が支払う手数料と、会員様からいただく年会費を中心に収益を上げています。「年会費無料で、分割払いやリボ払いの手数料で収益を上げる」というビジネスモデルではありません。だからこそ、年会費に見合った、もしくはそれ以上のサービスや価値を提供することが、ダイナースクラブの価値に直結しています。

――ダイナースクラブは長い歴史を持ちますが、会員と長く関係を続ける秘訣は何でしょうか。

繰り返しになりますが、ダイナースクラブは“クラブ”という意識が強く、発行会社である私たちと会員様の距離が非常に近い点が大きな特徴です。日頃から多くのご意見やご要望が寄せられ、その声を起点に新たなサービスが生まれています。私たちも信頼関係を何より重視し、一人ひとりの会員様と丁寧に向き合ってきました。

だからこそ、ダイナースクラブのメンバーは、自らダイナースクラブを「選んでいる」という誇りと、ダイナースクラブから「選ばれている」という自負の双方をお持ちのように感じます。ブランドへの愛着は非常に強く、長期にわたりご利用いただいている方も多い。日本でのサービス開始初期から、50年以上にわたって会員であり続けてくださる方も少なくありません。

また、レストランやゴルフ場などの加盟店で開催する会員向けイベントでは、会員様同士が自然に交流を深める場面をよく目にします。ビジネスや余暇、消費に対する価値観に共通点が多いことも、ダイナースクラブの会員ならではの特徴といえるでしょう。

実は私は、新卒で別のカード会社に入社しています。当時、父に「入社した会社のカードを作ってほしい」と頼んだのですが、「私はずっとダイナースクラブカードを持っているから、お前の会社のカードは作らない」と断られました。当時は、「息子の会社のカードを作ってくれないなんて」と思いましたが、「なぜ父はそこまでダイナースクラブに愛着があるのか?」と驚きもしました。後に今の会社に転職し、会員様との密なコミュニケーションを目の当たりにし、その意味が分かりました。

――ますます変化のスピードが早くなるなか、ビジネスリーダーは常に時間と情報に追われています。ダイナースクラブは今後、会員にどのような価値を提供していこうと考えていますか。

今回のサービス拡充は、「これで終わり」というものではありません。会員様との距離の近さを活かし、今後も皆さまの声を聞きながら、新しいサービスを追加したり、既存サービスの改善をしたりして、高い価値を提供していく予定です。ぜひ、本物の価値を求める人に持っていただきたいです。

ダイナースクラブカードは、人生を楽しんだり、学びや人脈を広げたりと、自分の考えや希望を実現するツールでもあります。単なるクレジットカードではなく、ビジネスリーダーの皆さまの「相棒」にしてほしいと考えています。