「正直、東大ってちょっと古臭いよね」という声が…

ここまで見てきたように、CoDの新設は単なる学部増設ではなく、東大自身がこれまで築いてきた「成功モデル」を自ら壊しにいく、かなり思い切った賭けだと言えます。背景には、「優秀層が、以前ほど東大を選ばなくなっている」という、東大内部の強い危機感があるのかもしれません。

西岡壱誠(監修)、孫辰洋(監修)、東大カルペ・ディエム(著、編集)『東大推薦 合格の秘訣 Vol.01 2026』(笠間書院)
西岡壱誠(監修)、孫辰洋(監修)、東大カルペ・ディエム(著、編集)『東大推薦 合格の秘訣 Vol.01 2026』(笠間書院)

自分は各地の学校を訪れますが、進学校の現場や名門校の先生からも、「正直、東大ってちょっと古臭いよね」という声が聞こえてくるようになっています。かつては絶対的な憧れだった存在の東大が、グローバル志向の強いトップ層にとっては「第一志望ではなくなりつつある」。

自分も東大生の一員として、トップ層の若者の目が東大に向かなくなりつつある、数ある選択肢の一つとしか見られなくなりつつある現状は、どこか寂しさを感じます。海外を視野に入れた受験生の目線では、東大が「第一志望」でなくなってしまうことに焦燥感すら感じています。

その現実を、東大自身が誰よりも痛感しているのだと思います。

だからこそ今回のCoDは、国内大学との小さな競争ではなく、「世界の大学市場で生き残るための方向転換」と言えそうです。

今後の東大がどうなるか、一つの分岐点になる

海外大学と真正面から併願できる入試、英語を軸にした教育、分野横断型の学び……どうなるかは、正直まだ分かりません。内部の反発もあるでしょうし、従来型の東大像を支持してきた層からの違和感も出てくるはずです。それでも踏み切ったという事実自体が、今の東大が置かれている切迫した状況を物語っていると言えるのかもしれません。

東大のこの「一手」が、東大自身にどう影響を及ぼすのか。トップ層の“東大が第一志望”という風潮が戻るのか。あるいはこのままの状態なのか。間違いなく一つの分岐点になるとみています。東大に身をおく一人としても、自分の母校に向けられた目がどう変化していくのか、今後の動きを注視したいと思います。