「国内の英語で学べる大学」も影響を受ける
同時に、東大が「海外大学との併願」に向けて動き出したことは、国内の他大学にとっては大きな脅威であるとも言えるのです。
この動きによって、最も影響を受けるのはどこでしょうか。推薦入試の専門家・孫辰洋さんに話を聞くと、こんな回答が返ってきました。
「早稲田大学国際教養学部、国際基督教大学、国際教養大学など、いわゆる『英語で学ぶ系大学』です。これらの大学は、『東大には行きにくいが、海外大学との併願がしやすい』という立ち位置で、英語力と思考力の高い層を獲得してきました。
東大一般入試は難しすぎる。でも海外大学に行くほどの準備もできていない。そんな優秀層の受け皿として、これらの大学は機能してきたのです。しかしCoDは、その層を真正面から奪いにきています。
CoDが本格的に運用されれば、早稲田国際教養やICU、国際教養大学の志願者層が大きく影響を受ける可能性があります。早稲田大学やICUの入試担当者は、今ごろ頭を抱えていると思いますよ。
特に、『海外大学を目指していたが不合格だった』『海外大学も合格したが、戦争の影響もありヨーロッパへの留学が不安』『トランプ政権下でアメリカへの留学が不安』という層が、CoDに流れることが予想されます。」
本当の狙いは“世界の優秀層”の獲得か
国内の勢力図への影響もありますが、注目すべきは、東大の視線が国内に向いていないのではないかという見方です。東大が見据えているのは、世界の大学市場における生き残りです。
これまで東大は、「日本で最も優秀な大学」ということで、さまざまな場で「東大」のブランド力を発揮してきたように思います。しかし、国内での地位は不動でも世界ランキングでは、アジアの中でも中国やシンガポールの大学に抜かれる場面が増えてきました(ただし東大だけを見れば、少しずつ上昇傾向にある)。
最新のランキング(「THE World University Rankings 2026」)では、アジアに限ると、1位は清華大学(中国)、2位は北京大学(中国)、3位はシンガポール国立大学(シンガポール)ときて、4位に東大が入っています。
また、CoDは秋入学を採用しています。これらは、東大が「世界の優秀層と競争する大学」へ変わる意思表示だとも見ることができます。
英語で学ぶ環境を整え、国際試験を入試に組み込み、分野横断型のカリキュラムを提供する。これは、スタンフォード大学やUCバークレーが長年実践してきたモデルです。東大は、そのモデルを本気で取り入れようとしているのです。


