“本当のトップ”は海外大学へ行ってしまう
この2つは、これまでほぼ交わりませんでした。理由は単純で、東大の記述試験と海外大学の出願準備は、同時並行がほぼ不可能だったからです。
海外大学入試は、志望理由エッセイ、課外活動の実績、推薦状、面接などが中心です。試験勉強よりも、「自分は何者で、何を成し遂げたいのか」を言語化し、実績として示すことが求められます。
一方、東大一般入試は高度な日本語運用能力と、教科書を超えた記述力が求められます。特に文系の論述問題や理系の証明問題は、短期間の準備では対応できません。こうなると、進学校のトップ層は「どちらか一方に全振りする」という二者択一を迫られることになり、その大半がより基準が明確で成功する公算が高い東大受験を選んできました。
しかしここ数年、優秀な成績を収めている生徒さんからお話を聞いていると、「東大は受験しません。海外大学に行こうと思います」という人が肌感覚的に増えている印象です。学内の試験が優秀で、かつ数学オリンピックやビジネスコンテストなどで結果を出し、留学経験もあって英語もペラペラな人――本来は東大に行くであろうと思われた層が、「東大ではなく海外大学を志望します」と言っている。
早い話、「本当のトップは海外大学に行く」という構図ができてしまっているのです。
“海外大学を狙う層”も獲得できる仕組み
10年前に東大でも推薦入試が始まり、ダブル受験の可能性も高くなりました。実際、東大推薦合格者の中には「海外大学と東大にダブルで合格し、東大を選ぶ」という人もいましたが、それはあくまで例外的な存在でした。推薦入試の定員は全体のわずか数パーセントに過ぎず、海外大学との併願を前提とした設計にはなっていませんでした。
しかしCoDは、この構造を根底から壊しにきています。
試験形式として、共通テスト+エッセイ+面接、あるいはIB・SATなどの国際試験+エッセイ+面接を課すわけですが、この入試形態は海外大学の出願準備と驚くほど親和性が高いのです。
極端に言えば、「海外大学を第一志望にしながら、東大CoDを“本気の併願”にする」という進路設計が、現実的になりました。
これは日本の進学校の進路マップにとって、かなり大きな変化です。従来なら、「ハーバード大学を目指す」と決めた生徒は、東大を受験する選択肢をほぼ持てませんでした。逆に、「東大を目指す」と決めた生徒は、海外大学を視野に入れることはありませんでした。
しかしCoDの登場により、これからは「海外大学とのダブル合格」を狙える層が一気に広がる可能性があります。つまり、東大にとっては、海外大学に流れていた優秀層を取り戻せるかもしれない、そういう施策なのです。


