グローバルでも取り組みの価値を示すことができた
――環境やサステナビリティ関連の活動について、現状の手応えをお聞かせください。
【越智】2050年のありたい姿として「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」実現に向けた活動を加速させています。2023年3月末時点で2030年度をターゲットとしたGHG排出量削減目標の約9割を達成し、他のテーマでも早期の目標達成が見込まれたため、より挑戦的な目標に引き上げました。2050年のビジョン達成をより確実なものにしていきたいと考えています。
大日本印刷株式会社
コーポレートコミュニケーション本部
本部長
こうして成果が出ている中で、DNPは「より良い未来」として「4つの社会」(安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会、快適にコミュニケーションができる社会、人が互いに尊重し合う社会、経済成長と地球環境が両立する社会)の実現を目指しています。また、DNPが社会とともに成長し続けるために重要なこととして「マテリアリティ」を定めており、さまざまな取り組みを推進して環境と経済のバランスをしっかりと踏まえて課題解決に挑み、「持続可能な社会」と「成長し続けるDNPグループ」の両立を図りたいと思います。
取り組みを社内外に向けてしっかりと発信するとともに、社外から客観的に評価してもらうことも重要視しています。2025年の7月には、気候変動などの環境分野に取り組む国際的な非営利団体である英国CDPより、サプライヤーエンゲージメント評価において6年連続で最高評価のリーダーボードに選出されました。続いて12月には気候変動および水セキュリティの分野で「Aリスト企業」に認定され、さらに「環境」「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」の4分野で企業の持続可能性を評価する仏EcoVadis社からは、世界の評価対象企業のうち上位5%の企業のみに授与されるゴールド評価をいただきました。
対話を重視し、協働によって新しい価値を
――どのような役割を果たしていきたいと思われますか。
【越智】「DNPグループビジョン」は次の3つで構成されています。「企業理念(DNPグループは、人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する)」「事業ビジョン(P&Iイノベーションにより、成長領域を軸に事業を拡げていく)」、そして「行動指針(対話と協働)」です。当社は多様なパートナーとしっかりと対話をして、協働によって新しい価値を生み出すことを重視してきました。先ほどお話しした「4つの社会」の実現も、当社だけでなし得るものではありません。多様なつながりを持つ企業として、積極的に周囲に働きかけていくことも当社の重要な役割だと受け止めています。
――「都市における新しい森づくり」として2015年に始まった「市谷の杜」も、すくすくと育っています。
【越智】はい。かつての武蔵野の雑木林をイメージして、地域固有の在来種のみを植えた自然に近い緑地づくりは当初苦労も多かったのですが、現在は環境にも適応し、木々が大きく生い茂っていますね。鳥や風が運んできたのか、当初は植えていなかった植物が、自生することもあって、まさに「市谷の杜」で自然の循環と生物多様性を確認することができます。こうした「都市における新しい森づくり」の取り組みを評価していただき、2025年に「第33回地球環境大賞」(主催:産経新聞社)の「特別賞」を受賞させていただきました。2026年は、DNPにとって「創立150周年」という記念すべき年です。当社に併設する「市谷の杜 本と活字館」によってDNPの事業の原点である活版印刷技術の魅力を伝えるとともに、ますます地域の皆さまに自然と文化に触れる心地よい時間を楽しんでもらえるよう、「より良い未来」の実現に向けて進んでいきたいと思います。
身の回りにある自然に気づき、行動するきっかけに
――環境フォト・コンテストについて、感想などをお願いします。
【越智】自然の中に息づく命の大切さ、温かさなどを捉えているコンテストだと、私は感じています。当社の募集テーマである「万物の息吹」に対しても、応募者それぞれの目線から「私はこういうふうに再解釈した」と、明確な意思を感じる作品になっているのが印象的でした。雄大な自然ばかりではなく、例えば「市谷の杜」でも見られるように、身近な場所にも小さな虫や鳥がいて、自然が循環しています。こうしたところにも目を向けた作品も多く寄せられるのが、本当に素晴らしいと思います。
人間が環境に与えてきた影響はたしかに大きいかもしれませんが、人間がいるからこそ回復できる自然もたくさんあるはずです。自分の身の回りを見つめて、自然との関わりを考えてみる、環境フォト・コンテストはそんなきっかけになると思います。
●「環境フォト・コンテスト2026」入賞作品
●募集テーマ:万物の息吹