生命保険事業にとどまらず、アセットマネジメントやヘルスケア、介護、保育など、さまざまな社会課題の解決に貢献する「安心の多面体」を目指す日本生命。『誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会』を実現するために、地球環境保全や地域に根差した活動など、各地での取り組みが拡大している。同社サステナビリティ経営推進部部長の宇田優香さんに聞いた。

お客様への約束を果たしていくために、一層の高度化が必要

――環境、サステナビリティ領域の方針を教えてください。

宇田優香さん 日本生命保険相互会社 サステナビリティ経営推進部 部長
宇田優香さん
日本生命保険相互会社
サステナビリティ経営推進部 部長

【宇田】当社は創業以来135年以上にわたり「国民生活の安定と向上に寄与する」という経営基本理念を掲げています。長い歴史の中で「保険商品・サービスの提供者」として、そしてお客様からお預かりした大切な資産を運用する「国内最大級の機関投資家」として、さまざまな社会課題解決を通じて企業価値向上に取り組む、サステナビリティ経営を実践してきました。

保険事業はお客様との数十年にも及ぶ長期的な約束ですから、社会が持続可能でなければ、われわれも使命を果たすことはできません。人生100年時代を迎えた今、その約束をこの先も果たしていくためにも、サステナビリティ経営の一層の高度化が必要だと考えています。中期経営計画(2024-2026)でサステナビリティ経営を根幹と位置付けているのもそのためです。

当社グループが実現したい社会とは、『誰もが、ずっと、安心して暮らせる社会』です。「人」「地域社会」「地球環境」を重点領域として、「人生100年にわたる安心・安全の提供」「希望に満ちた未来世代を育む」「豊かな地球を未来につなぐ」など5つのサステナビリティ重要課題を設定しています。さらに長期的に目指す姿として「“安心の多面体”としての企業グループ」という企業像を掲げています。生命保険を中心に、アセットマネジメント、ヘルスケア、介護、保育など、多様な課題、不安を解決できる企業になるべく各種の取り組みを進めているところです。

貢献度を測る物差しとしてアウトカム目標を設定

――具体的な取り組みについてお願いします。

【宇田】実現したい社会への貢献度を測る物差しとして「人」「地域社会」「地球環境」それぞれの領域で「アウトカム目標」を設定しています。「人」「地域社会」での当社らしい取り組みとしては「健康寿命の延伸」があります。

当社は全国に約1,500の営業拠点があり、約5万人の営業職員が地域に根差した活動を続けています。2023年からは、生命保険会社として健康寿命の延伸に資する取り組みを推進しており、自治体との連携協定に基づく「がん啓発活動(旧がん検診受診勧奨活動)」を実施しています。がん啓発イベントやセミナーの開催など取り組みを拡充させる中、2025年8月から11月の期間で実施したアンケートでは、150万人超の方から回答をいただきました。結果、2023年にがん検診が未受診だったお客さまのうち、約4人に1人が受診したとのデータが得られました。収集した声は受診率向上に役立ててもらうために、連携協定を結ぶ全国の自治体と共有しています。2025年12月には、厚生労働省のNDB(ナショナルデータベース)をもとに各自治体の医療費の傾向を分析したレポート「ニッセイ医療費白書」の無償提供も始まりました。

ニッセイ医療費白書
ニッセイ医療費白書

――「地球環境」の取り組みについてはいかがでしょうか。

【宇田】気候変動、生物多様性、サーキュラーエコノミーを軸に、事業活動領域、資産運用領域の両面から取り組んでいます。事業活動領域では、CO2排出量の削減、再生可能エネルギー比率の引き上げをアウトカム目標として設定しています。資産運用領域では、GHG排出量(総排出量・インテンシティ)、GHG削減寄与量を項目としています。事業活動領域での主な取り組みとしては、スコープ1では社用車のEV化、スコープ2ではグリーン電力の導入、オンサイト・オフサイトPPAの導入、スコープ3では年間で1億枚以上の紙削減等に取り組んでいます。これらの取り組みによって、2024年度の実績は2013年度比でCO2排出量30%削減、再生可能エネルギー比率は56.7%に達しました。

また、2025年10月、当社と長崎大学はプラネタリーヘルス実現に向けた取り組みの強化、発展を目的に連携協定を締結しました。地球温暖化や生物多様性の損失といった地球環境の変化と、人間の健康の相互関係について共同で研究を行い、その成果を健康寿命の延伸などにつなげたいと考えています。続いて11月には、公益財団法人日本自然保護協会とネイチャーポジティブの実現を目指すための協定を締結しました。生物多様性の保全および回復の推進、地域の自然保護と活性化を図ります。

写真から伝わる生命力が、行動を起こす原動力に

――環境フォト・コンテスト2026では、日本生命賞の作品がグランプリに輝きました。

【宇田】最終審査会では、撮影者の菊川さまと広報部メンバーで喜びを共有させていただきました。環境フォト・コンテストへの参加は、当社の地球環境保全の取り組みを広く知ってもらえる貴重な機会です。写真が伝える自然の美しさ、人間や動植物の生命力は、私たちを奮い立たせ、生きる活力を与えてくれます。こうした感動は、明るい未来に向けて人が行動を起こす原動力になることと思います。

――今後に向けて、お願いします。

【宇田】アウトカム目標は、社会課題を解決することで実現したい社会を数量的に示すものです。これは単なる数値ではなく、当社グループが、お客様や地域の方々、企業の皆さまにどれだけ貢献できているかを測る物差しでもあります。目標達成に向けて、各事業部門の取り組みの幅は着実に広がっています。非常に息の長い取り組みとなるため、各事業部門とも連携を図りつつ、実現したい社会を明確にしながら、適宜、取り組みの見直しを行っていくことで、サステナビリティ経営の高度化を実現していきたいと思います。

●「環境フォト・コンテスト2026」入賞作品

●募集テーマ:たくましく生きる力

環境大臣賞/環境フォト大賞「成長と試練」菊川雅哉さん
環境大臣賞/環境フォト大賞「成長と試練」菊川雅哉さん
2026優秀賞「大地に根を張る」杉山 薫さん
2026優秀賞「大地に根を張る」杉山 薫さん
2026佳作(1)「格闘」門間直美さん
2026佳作(1)「格闘」門間直美さん
2026佳作(2)「雪の日のふくら雀」割山勢津子さん
2026佳作(2)「雪の日のふくら雀」割山勢津子さん