スマートフォンや液晶テレビ、家具、衣料品、ペットボトルのラベル用インキ――。「色が持つ力」を最大限に引き出し、また素材に新たな価値を付加する大日精化工業の技術は、身の回りのさまざまなモノに活用されている。サステナブルな暮らしやビジネスへのニーズが高まり続ける中、その期待にどう応えていくのか。「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」を掲げる同社を訪ねた。

技術力を生かして高付加価値を創出する

――環境、サステナビリティの取り組みにおいて、どのような方針を掲げていますか。

【大日精化工業】当社は創業当初から、「色」というものを単なる色彩としてではなく、人々の暮らしを豊かにし、社会に貢献するための重要な「機能」の一つとして捉えてきました。これは時代が変わっても揺らぐことのない、私たちのアイデンティティです。

現在、2024年度からスタートした中期経営計画を推進しているところです。計画では10年後のありたい姿として、「機能性マテリアル分野のエクセレントカンパニーになる」という長期ビジョンを掲げました。長年培ってきた高い技術力をさらに進化させ、色だけにとどまらない、多様な機能を有する高付加価値な素材を開発・提供していくことに注力しています。

環境に関する取り組みについては、製品を通じた環境負荷の低減、製造工程における負荷の最小化という両面からアプローチしています。世界的なビジネスの潮流が環境保全やサステナビリティへと大きくかじを切る中で、私たちの事業そのものが持続的な成長の大きな柱になると考えています。


各現場に応じたきめ細やかな改善策を実行

――どのような対策が成果を上げていますか。

【大日精化工業】国際的な目標である「1.5度目標」や2050年のカーボンニュートラル実現に向けて動く中、私たちも「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書」が示すマイルストーンに準拠した中期目標を設定しました。具体的には、「2030年度までに2019年度比でCO2を48%削減」です。実は、2024年度の実績値ですでに「温室効果ガスを53%削減」に到達しており、国際的な削減目標を先行してクリアしている状況にあります。

太陽光発電設備を設置した生産拠点(九州化工株式会社)
太陽光発電設備を設置した生産拠点(九州化工株式会社)

この数字を実現できた要因の一つは、全国の生産拠点で働く社員たちの地道な努力です。さまざまな部署から毎年数十件から100件近い省エネ対策のアイデアが出され、実行に移されています。一律のアプローチではなく、各現場の状況に適したきめ細やかな改善が、この大きな削減幅を生み出しています。2021年度から、国内生産拠点の全電力をCO2ゼロの実質再生可能エネルギー由来の電力に切り替えるといった抜本的な取り組みも実施済みであり、今後はこの数値を維持しつつ、さらに高みを目指していきたいと考えています。

創業当時から続くサステナビリティの精神

【大日精化工業】近年、広く浸透している「サステナビリティ経営」の精神を、当社は創業当時から体現してきたという自負があります。当社の事業の原点である顔料は非常に取り扱いが難しく、お客さまが狙った色を安定して再現するには、膨大なエネルギー、時間、そして材料が必要でした。私たちはこの課題に正面から向き合い、より効率的かつ安定的に色を出せる材料を提供することで、お客様の工程におけるロスを最小限に抑えるお手伝いをしてきたのです。

太陽熱高反射用コーティング剤(当社製品)を塗工した生産拠点(大日カラー・コンポジット株式会社 加須製造事業所)
太陽熱高反射用コーティング剤(当社製品)を塗工した生産拠点(大日カラー・コンポジット株式会社 加須製造事業所)

こうした長年の積み重ねがあり、今ではお客さまとの共同開発テーマの8〜9割が、環境や社会に配慮した「サステナビリティ貢献製品」と呼ばれるものになっています。お客さまと共に新しい価値を創り出す「価値共創」の姿勢こそが、私たちの最大の強みといえます。

環境問題を身近に感じてもらうための「架け橋」

――「環境フォト・コンテスト」についてはいかがでしょうか。

【大日精化工業】情報が氾濫する現代において、写真はパッと見て直感的に当社のメッセージを伝えられる、そこが最大の特徴だと感じます。複雑な環境問題を、一枚の写真を通じて身近に感じてもらうための「架け橋」になるものだと思います。

大日精化工業の優秀賞作品「月夜の高原」は、静謐な青と月の黄金色のコントラストが本当に見事で、自然がつくり出した一瞬の芸術ともいえる作品でした。審査の際も、その厳かな世界観に皆が引き込まれる思いでした。写真家の方々は、撮影活動を通じて環境問題を肌で感じていることと思います。それを私たちが技術で解決していく、そんなつながりをイメージできることもコンテストの大きな意義だと思っています。

BtoBの化学メーカーである私たちの技術が、どれほど生活や環境に密接に関わっているか、より広く、しっかりと伝えていくことが大切だと感じています。多様な場面で製品が活用されているからこそ、その一つ一つの機能が積み重なることで、地球環境の未来をより良いものにできるはずです。お客さまから「大日精化工業の製品だからこそ、このサステナブルな製品が実現できた」と言っていただけるような、価値共創のパートナーとして、これからも挑戦を続けていきます。

●「環境フォト・コンテスト2026」入賞作品

●募集テーマ:地球の色、暮らしの色

2026優秀賞「月夜の高原」大田将太郎さん
2026優秀賞「月夜の高原」大田将太郎さん
2026佳作(1)「ビーナスベルト」大西秀治さん
2026佳作(1)「ビーナスベルト」大西秀治さん
2026佳作(2)「森から出て、森へ帰る。」川村澄志さん
2026佳作(2)「森から出て、森へ帰る。」川村澄志さん