「世界で通用するスキル」とは、英語ではなくITだ

英国の名門国立大学、エセックス大学との提携により、2025年9月に開校したSAK University 東京イノベーションキャンパス(以下、SAK大学部)は、世界最先端のIT&コンピュータサイエンスとAIエンジニアリングを日本語で学ぶことができるユニークな高等教育機関だ。同校が目指す教育について、SAK大学部の学部長、土橋直樹氏に尋ねた。

日本にいながら日本語で海外大学の学びを

「留学せずして、グローバルで通用する実践的なIT・AI教育を受けられるのは、SAK大学部の大きな強み」と土橋氏は強調する。同校では、3年間でエセックス大学のコンピュータサイエンス学士号が取得でき、さらに4年目にはコンピュータサイエンス&セキュリティの大学院課程へと進むことができる。卒業後は、そのまま英国の同大学大学院に進学し、修士号や博士号の取得を目指すこともできる。

土橋直樹(つちはし・なおき)
土橋直樹(つちはし・なおき)
SAK University 東京イノベーションキャンパス 学部長
2007年慶應義塾大学理工学部卒業。その後、IT企業にてシステムエンジニアとして勤務。12年エスアイイー入社以降はエンジニア業務と並行しIT教育に携わる。著書にIT技術書籍『徹底攻略 LPIC レベル3 305 教科書&問題集[Version 3.0]対応』がある。

こうしたユニークな教育を実現したのが、エセックス大学と東京のIT専門スクール、SAKの提携だ。

エセックス大学は、1964年に設置された英国の研究型国立大学で、英国紙ガーディアンの「大学ガイド2026」では国内大学約150校中12位、英国タイムズ社が発行するTimes Higher Education(THE)の「世界大学ランキング2026」では世界2万校中の上位1.5%にランクされるなど、世界的にも高い評価を受けている。

一方SAKは22年の歴史を持つ老舗IT専門スクールで、これまでに1万6000人以上が学び、法人顧客400社以上を持つ。エセックス大学はさまざまな国の教育機関と提携しているが、日本語で学んで同校の学位が正式に授与されるのはSAK大学部が初となる。「SAKの歴史と就職に強く実務に直結したIT教育が評価された」と土橋氏は話す。

ITスキルは働く上で必須の“教養”に

SAK大学部誕生の背景には、多くの親が抱える「わが子には、時代に合った世界で通用するスキルを身に付けてほしい」という思いがある。土橋氏は「海外留学と比較して費用面や安全面で勝る環境で、世界水準の高等教育が受けられ、強力な“武器”を持った状態で社会に出ることができます」と力を込める。

しかし「世界で通用するスキル」というと、まず英語が思い浮かぶ。「留学せずに“海外大学の学び”を日本語で」とうたうのはなぜなのか。

土橋氏は「もちろんわれわれも英語には力を入れており、希望する学生にはネイティブ講師による英会話トレーニングや、卒業後のエセックス大学大学院進学を見据えたIELTS対策プログラムを提供します」と述べた上で、こう説明する。

「海外で活躍する寿司職人を思い浮かべてください。最低限の英語力は必要かもしれませんが、彼らに問われるのは英語力よりも寿司職人としての腕のはず。ITはとうの昔にグローバル化していて、世界中どの国でも、どんな業態・業種の企業でも不可欠。ITこそが、“いつでもどこでも働ける人”になるためのスキルなのです」

コンピュータサイエンスやAIというと、エンジニアやプログラマーなどのIT専門職になるためのスキルと捉えられることが多いが、土橋氏は否定する。

「文系の職業と思われがちな営業やマーケティング、経営企画など、どんな職種でもITスキルが求められています。ITはもはや、働く上で必須の“教養”。ITスキルを身に付けて、IT以外の道に進んでもいい。そこではITスキルが付加価値になるはずです。理系に苦手意識を持つ人も、SAK大学部でこのスキルを得てほしいです」

職場にITが浸透した今、SAK大学部の卒業生には、あらゆる会社が就職先になるという。同校では、カリキュラムの中でさまざまな国際的IT資格の取得を後押ししているほか、英国式の「アプレンティスシップ」を取り入れており、在学中からクライアント企業の実務に携わることで、実践的な技術を身に付けることもできる。また、IT専門スクール運営やIT技術者の転職支援サービスなどを長年行う運営母体の就職支援部門による、手厚いキャリアサポートも強みだ。

SAK大学部は、リスキリングやセカンドキャリア構築にも力を入れている。高校卒業後すぐに進学できる昼間部に加え、働きながら学ぶ社会人向けの夜間部もある。日本プロサッカー選手会の2025年オフィシャル理念パートナーとして、プロサッカー選手のセカンドキャリア形成を支援することも表明している。

土橋氏は、目指す未来像についてこう語る。

「グローバルで通用するIT人材、AI人材は不足しており、社会からも企業からも、人材を育成する教育機関が待ち望まれています。私たちは、30年後の未来でも活躍し続けられる人材を育てたい。キャンパスに皆さんをお迎えするのを、楽しみにしています」

最先端の授業を受けるにふさわしい個性豊かな施設がそろう学びの中心地・品川天王洲キャンパス

英国建築の伝統的なデザインに、和の文化を取り入れたかつてないキャンパスが誕生。超大型モニターを備えた教室をはじめ、サイバー攻撃や不正なアクセスを監視し対応するためのNetwork/Security Operation Centerや、サイバー攻撃側とネットワーク構築側それぞれの技術を演習するCybersecurity Practical Labなど一般的な教育機関では見られない施設群は、実践的な学びを実現するために欠かせないものばかりだ。


SAK University 東京イノベーションキャンパス

(上)レンガを用いた壁面が、温かみを感じさせる大型教室。(下左)エントランスに輝くエンブレム。(下中)セキュリティ演習を行うNetwork/Security Operation Center。(下右)個室型の自習室。

世界で通用する人を育てる実践的なカリキュラム
カリキュラム

SAK University 東京イノベーションキャンパスは、年4回、基本1・4・7・10月のいずれかの時期に入学が可能(祝日等の関係で、開始月がずれる可能性あり)。キャンパスは品川天王洲、渋谷三軒茶屋、秋葉原、新宿と東京都内に4カ所。通学が困難な場合は、オンライン受講もできる。