※本稿は、ひきたよしあき『「自分の気持ち」を表すことば図鑑』(大和出版)の一部を再編集したものです。
同じ「うれしいこと」を表す言葉だけど…
「うきうき」と「わくわく」の違い
「うきうき」も「わくわく」も、うれしくて仕方がない様子を表します。よく使うことばだけど、どんなちがいがあるんだろう?
まずは、自分がどんなときに使うか考えてみて! ヒントは、それが「今起きてうれしいことか」「未来に起きるうれしいことか」のちがいだよ。
「うきうき」は、今起きている出来事ごとに対して使うことが多いことばです。水にうかぶうきわのように、心がふわふわとうかんだり、はずんだりするたのしい気持ちを表します。
遠足している今、たのしくてしょうがないとき、「たのしくて、うきうきしています!」なんて使います。
「うきうき気分」最高だけど、うかれすぎないように気をつけてね。
わくわくは、水が「湧く」からきたことばと言われています。うれしさやよろこびが次々にわいてきて、落着いていられない様子です。「わくわく」は、主に未来に対して期待しているときに使うことば。これから起きることが待ち遠しくて仕方ないときに、「わくわく」をよく使かいます。
「お正月の駅前は、うきうきした気分の人であふれていた。」
「上原さんからメールがきたので、うきうきしている。」
「明日は、推しのコンサート。わくわくしてねむれない。」
「出張中のお父さんから『「おみやげを買って帰るよ』と連絡があったので、家族全員わくわくしている。」
「かなしい」の使い分け
「悲しい」と「哀しい」のちがい
どちらも「かなしい」と読みます。心が痛んだり、さびしい気持ちのときに使います。
一般的には「悲しい」という漢字を使いますが、美しいものがなくなるなど、心の中にじんわり広がる気持ちを詩や文学のように表現するときには、「哀しい」と書きます。
くわしく見ていきましょう。
悲しいは、「失敗」や「大切な人との別れ」のように、悲しくなる原因がはっきりしていることが多いです。
原因がわかっているので、泣いたり、落ちこんだりと、感情の動きもわかりやすいのが特徴です。
悲しいは一般的に使われる「常用漢字」なので、悲しい哀しいかで迷ったら、「悲しい」と書きましょう。
哀しいは、「桜が散って哀しい」「あのころを思い出すと哀しくなる」などと、ものがなしさ、はかなさ、しみじみとした感情を表します。
原因は、あまりはっきりしていません。「なんだか哀しい」「思い出でにひたりたい」ような気分のときに使います。
ふだんの会話よりも、詩や文学に出てくることばです。使えるようになるとかっこいいよね。
「愛犬が死んでしまい、とても悲しい。食事がのどを通らないほど落ちこんでいる。」
「災害のニュースを見て被災者の気持ちを考えたら、悲しくて涙が出てきた。」
「しばらく見なかった祖母の姿が小さくなっていて、哀しい気持ちになった。」
「夕焼けはきれいだけれど、ちょっぴり哀しい気分にさせられる。」


