図形問題を制する者は中学受験を制する
そんな中学受験の算数ですが、その中でも特に差がつく単元のひとつに「図形問題」が挙げられます。
その理由としては、大きく2つあると思います。
一つ目は、先ほどお話ししたように、算数ではさまざまな単元で連動する問題が出題されていますが、その中でも図形問題は特に連動する傾向が強いという点です。
例えば、(1)である辺の長さを求めさせ、(2)では(1)を利用して辺の比を、(3)では(2)を利用して面積比を求めさせるといったように、積み上げ式の解答が多く見られるのです。そのため、(1)が解けなければ(2)(3)と大問をすべて落としてしまうということも珍しくありません。
そして二つ目は、図形問題を解くには、第3の力「空間認識力」がが必要であること。中学受験の算数では、すべての単元において「計算力」と「論理的思考力」の2つの力が必要ですが、図形の単元では、それに加えてさらに第3の力である「空間認識力」が必要になります。
この力が身についている子といない子で差が生まれてしまうのです。こういった要素が、図形問題が算数の中でも差がつく単元である理由だと思います。
特に難関校では図形問題の比重が高い傾向にあり、図形問題を落としてしまうとグッと合格への道が狭まってしまうため、「図形問題を制する者は中学受験を制する」と言っても過言ではありません。
「空間認識力」の正体は? 鍛えられるの?
ところで先述した、図形問題を解くカギになる「空間認識力」とは何でしょう。
図形を見るときに必要な大きさや形を捉える力? パッと浮かぶひらめき? なかなか言葉で言い表しにくいですよね。
その正体は、「図形への慣れ」。それだけなんです。
では、「慣れ」とはどこから生まれるのでしょうか。それはやはり「経験」からです。「経験」を積むにはもちろん時間がかかりますから、一朝一夕には身につかず、それをしっかり身につけた生徒とそうでない生徒で大きく差がついてしまうわけです。
この空間認識力を日ごろの学習の中で育むには、「図を描いて考える習慣をつける」ことがおすすめです。
図形問題は、図形の条件などの文と、その文に対してすでに描かれている図形がセットになっています。この問題の図をまず別のノートに自分で描き写してみる。この「描き写す」という作業が空間認識力を鍛えるのです。
「図を描く」という作業は、脳のイメージと目、指が連動してはじめて成り立ちます。周りから、いわゆる「センスがある子」と思われている子ほど、この連動が速くできます。連動はある種、反射と似ています。体が覚えるまで経験を積むことで、いくらでも速く、スムーズに連動できるようになります。つまり、練習しだいで誰でも「センスがある子」になれるのです。
ちなみに、図を描くときは、フリーハンドで描く習慣をつけた方が良いでしょう。定規を使って描くと、“道具を使う”といういらない思考を入れなければなりません。また、実際のテストのときは時間が決まっており、道具を使うことで時間のロスにもつながります。最初は定規を使って練習してもいいですが、最終的にはフリーハンドで描けるようにしましょう。
さらに、上級者の場合は、「問題の図を隠し、問題文だけを読んで条件に合う図を自分で想像して描き起こす」という訓練をしてみてください。こうした練習を積み重ねることで、空間認識力が飛躍的にアップします。


