【心得3】
都市と地方をつなぐ
セカンドハウスの発想

IターンやUターンなど、退職後に地方へ移住するという選択肢もあります。自然豊かな地方で農業を始めたり、自分が生まれ育ったふるさとの再生のために里帰りしたりと、その理由はさまざま。仕事で多忙だった現役時代から心機一転、再スタートを切るのに良いきっかけになるかもしれません。

ここで注意していただきたいのは、配偶者の意向です。たいていの場合、男性は地方移住に積極的ですが、妻は住み慣れた地域から動きたがらないことが多いもの。特に妻が専業主婦であれば、地域に根ざして人間関係を築いてきただけに、移住には難色を示すでしょう。ここで配偶者に移住を強要したり、別居するような事態に発展しそうなら、地方に滞在できるセカンドハウスを検討するのも一つの手段です。地方は都市に比べて低価格で住まいを借りやすくなったほか、農地と小型の家屋をセットで借りられるクラインガルテンなどの制度が全国に広がり、選択肢が増えています。

生活の軸足はこれまで暮らしてきた場所に置きつつ、地方の再生に貢献する。シニア世代が都市と地方の懸け橋となれば、過疎化が進む地方の活性化にもつながるでしょう。

【心得4】
第二の人生設計は
「50歳」から始める

高齢者雇用安定法が施行され、希望者は全員再雇用されるという仕組みができたため、「定年」の区切りは非常に曖昧になっています。公的年金の受給開始年齢が段階的に引き上げられているという事情も重なり、定年から年金受給開始までの数年間のギャップを埋めるため、再雇用契約を更新しながら、なんとなく働き続ける……こんな働き方が増えているようです。しかし再雇用をあてにして、いつまでも組織にすがりついていては、実りあるセカンドライフを手に入れるのは困難です。

まずは「60歳定年」を大前提として人生設計すべき。具体的には、退職10年前の50歳の段階から、退職後の具体的なセカンドライフを描いてみることをお勧めします。50歳とは、一般的な企業でいえば役職定年の時期。組織から離れた後どう生きるのか、真剣に考え始めなければならない年齢といえるでしょう。退職前から地域のボランティアに参加したり、将来やってみたい事業に関する情報収集をしておくだけで、人生の幸福度は大きく変わってきます。悔いなく、充実したセカンドライフを送るために、早い段階から動き出しましょう。