学校で学ぶであろう「柔軟な専門性」
とくに興味深いのが、「キャリア教育」の存在が「教育の職業的意義」を押し上げているかに見せて、「為政者の願望」にすぎない、何なら先の意味の職業的レリバンス(意義)の向上を阻んでいると喝破する点です。
ちなみに本田氏の代案は「柔軟な専門性(flexpeciality)」という概念にあるとし、「一度身につけた専門性は、その後に隣接領域、一見関連のない領域に移った場合でも、実質的な有効性を発揮しうる」「社会の現実と同様に、知識や技能も網の目状につながっているのであり、初発の専門性は、その後の展開の種子としての意味をもっている」状態への道筋を照らします。また、企業側に対しても、職種別採用の推進や「キャリアラダー」の活用など、日本型雇用を所与のものとしない取り組みを諦めずにやっていく必要性を指摘します。
学校に対する企業からの風当たり
他方で、レリバンスが云々かんぬんと言ったところで、学校教育というのは万年、その後の受け皿となる企業側から文句を言われているような気もします。
「学校ではろくなことを教えていない。仕事に必要なことをもっと叩き込んでくれよ」
と。教育サイドが反論しにくい文句を、企業側が都合よく偉そうに言っているだけの話のような気もしますが。
だって「企業は企業で人材育成してくださいよ」なんて吠えたところで、「じゃあお前みたいなのは雇ってやらないからな」と言われたら終わりなんですもん。生殺与奪、つまり「もらい」を給与というかたちで、決める側(=雇う側)が握っているのです。まぁこの時点で私からしたら大いに疑問ですが、社会システム(流れ、構造)として起きていることを理解する必要性が伝わると幸いです。
本筋に戻りますが、「学歴が職業選択にも影響するのであれば学校で学ぶことと仕事内容は当然、バッチバチにリンクしているんですよね?」という議論。これは専門的になされてきていますが、大手を振って、「学校は職場における即戦力を育成しています!」と言える状況ではないことは確からしい模様です。


