受験をやめる子が一番多いのは5年生

【5年生】中学受験の関門は5年生 勉強のやり方を変えることで壁を乗り越える

子供は大人と比べて精神的に未熟なため、遠い未来に向かって頑張り続けるのは難しい。塾通いを始めてまだちょっとしか経っていないのに、こんなに大変だったらもうやりたくない。そう思う子がいても何の不思議もない。わが子に受験勉強を頑張ってもらいたいと思うのなら、親は子供が気持ちよく勉強できるように、子供の気分が高まるような声かけをしてあげることだ。

発破をかけたり、精神論を訴えたりして相手の心を動かすというのは、大人には通用するかもしれないが、子供の場合は気分を下げるだけ。かえって逆効果になることをぜひとも知っておいていただきたい。

ただ、4年生の時点で受験を撤退するケースは、実際はそこまで多くはない。中学受験でもっとも脱退者が出るのは、受験勉強が本格化する5年生だ。鬼門となるのは算数の「割合と速さ」(1学期)と「比を使う応用」(2学期)を学習するタイミング。これらの単元になると、知識の丸暗記や解き方を覚えるだけの勉強法では解けなくなり、理解を大切にした学習が必要になる。

つまり、「なぜこの公式を使うのか」きちんと理解した上で、「今分かっているのはこことここの数字、求められているのはこの距離。ということは、線分図で考えたら解けそうだなとか、この場合は面積図の方がいいかな」など、自分で手を動かしながら考えて解き進めていかなければ、正解を出すことができなくなってくる。それをやらずに、それらしい公式にただ問題文に出てくる数字を当てはめてみるだけの子は少なくない。特に低学年の頃から丸暗記や大量演習といった学習法に走っていた子は、ここでこれまでのやり方が通用しなくなり、ガクッと成績を落とすことになる。

勉強をする子供
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焦りが原因で成績が低迷するパターンも出てくる

また、中学受験の学習範囲は、5年生の終わりでほぼ終了するため、5年生の間は次から次へと新しい単元を学習することになる。しかも、4年生と違って内容も難しい。そのため、毎回の勉強が納得感をもって理解していない状態のまま、ただ宿題をこなすといったアタフタ学習に陥りやすい。すると、きちんと問題文を読まないで解いてしまったり、回答に数字や単位を書き間違えたりといったケアレスミスが多発する。あとで見直しをしてみたら、各教科30点もケアレスミスで点を落としていた、なんてこともある。

つまり、「早く宿題を終わらせなければ」「早く問題を解かなければ」といった焦りが原因で成績が低迷してしまうパターンだ。こういう場合は、問題文を丁寧に読む習慣をつけることで解決することが多い。おすすめは音読だ。または、親が読んであげるのでもいいだろう。そうやって、一度立ち止まり、丁寧に問題に向き合う姿勢を身につける必要がある。