プレジデント編集部では、毎年働きがいや働き方に関する調査を行ってきた。今回も約2000人(回答総数1986)を対象に実施。いま、働く人たちはどのような仕事観、職場観を持っているのか。一橋大学大学院商学研究科教授の守島基博氏とともに読み解いていく。
調査対象/自営業者を除く全国の有職者1986人。回答者は男女比52:48、平均年収431万円(年収500万円未満が77%)、平均年齢36.1歳(20~50代。20代、30代が66%)、契約・派遣・パートなどの非正規社員は全体の28%。調査時期:2011年12月。アンケートはgooリサーチとの共同調査による。
今回の調査で浮かびあがってきたのは、将来に希望を抱けず、閉塞感に苦しみながらも現状にしがみつこうとする、内向きのサラリーマン像であった。
仕事をする源泉である「働くモチベーション」については、過半数が「お金」と回答。この傾向は前回調査(2010年2月実施)でも見られたが、その比率は増している。
「仕事の源泉がお金だというのは、本来悪いことではありません。『バリバリ働いて多くの収入を得たい』とか、『頑張ったぶん報酬で評価してほしい』と考えるのは健全なこと。しかし、残念ながら今回の結果は仕事に対する意欲や前向きな姿勢ではなく、それとは真逆の『先行き不透明な時代に、頼れるのはお金のみ』という、後ろ向きの姿勢の表れと受け止めています」と守島氏。その傾向は、「会社への忠誠心」や「会社の将来性」に対する回答を見れば、より明らかになるという。
確かに「現在の会社に自分の未来を賭けたい」と答えた人は5人に1人、「会社の将来性を感じる」と答えた人は4人に1人にとどまっている。「現在の会社で長く働くより転職したい」という人が約4割を占めたことからも、会社に対する忠誠心は薄く、会社の将来性に期待しない人が多いといえる。
「“働く場”に対する信頼感が失われていることがわかるでしょう。勤め続けても、出世したり給料が上がっていったりという保証はない。勤めている会社や自分自身の成長を実感できる場面は少ないと半ばあきらめている。『働くモチベーション=お金』となったのは、会社の将来が危うく未来を賭けられない状況の中、信じられるのはお金のみと考える人が増えたことの裏づけではないでしょうか」