10年物国債の金利推移

今年4月4日に日銀が行った量的・質的金融緩和後、長期金利が上昇している。緩和前には0.5%台だった10年物国債の利回りが、5月中旬には0.9%台へと跳ねた。一般に大規模な緩和をすれば、金利は下がる。すると、銀行の貸し出し増などで市中に資金が回り、景気を押し上げていくという日銀の思惑とは逆だ。

この理由を、大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長は「日銀は毎月、長期国債を大量に買い込んでいる。そのため、債券市場が窮屈になり、国債の流動性が低下し、価格の変動性も拡大するというリスクが高まった。結果として、機関投資家が国債を買い控える動きに出たことで長期金利は上がっている」と説明する。

もともと日本国債は、1999年に“ゼロ金利政策”が導入されて以来、ずっと低金利が続いてきたことから、安全で安心な投資先とされてきた。しかし、この乱高下で投資家の認識が180度変わったといっていい。こうした状況に加えて、5月22日に黒田東彦総裁が「中央銀行が完全にコントロールできるものではない」と発言したことも、先行きの不透明感を増した。

そこで気になるのは、個人の住宅ローンや企業の資金調達金利への影響だ。伊藤氏は「10年物国債でいえば、金利が年内2%に達するかどうかが分水嶺。そこまで上がると変動金利で住宅ローンを借りていれば、上昇分が上乗せされる。また、利息支払いが増える企業の投資マインドも冷え込む」としており、当面は日銀のオペレーションを見守るしかない。