突然訪れた株式市場の調整局面に驚いたのは、安倍晋三総理大臣だけではないだろう。このままズルズルと日経平均は下がってしまうのか。武者リサーチの武者陵司代表は、こう見通しを語る。「結論から言えば、これからまた大きな上昇相場になる可能性が強い。去年の秋まで日本以外の国がリーマンショックの底値から2倍以上になっているのに、日本だけはまだ底値圏だった。現在の相場はテクニカルな調整と考えるべき」。

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ユニットレーバーコストの推移

日本がこれからまだ成長する根拠の1つに、ユニットレーバーコスト(生産1単位あたりに要する人件費)がある。

「日本企業が20年以上の長期にわたって大幅なコスト削減努力を続けていたのがよくわかります。しかし、グローバルマーケットでの競争において、優位性が強くなったり、利益が増えていたりしたということはありませんでした。原因はゆき過ぎた円高です」。

日本企業の徹底したコスト削減努力よりも、円高の影響が強く日本製品の海外での競争力を奪っていったのだ。アベノミクス、黒田東彦日銀総裁による円安誘導によって、日本企業が大きく飛躍するチャンスがくると武者氏は考えている。

「日経平均が半年で70%も上がりました。実際に株価を動かしていたのは海外のヘッジファンドによる短期の買い入れが主体でした。利益をすぐに出せるタイミングを狙ったものです。今回がテクニカルな調整と考えるのは、他国の株式市場がそれほど調整していない点。日本の株価の上昇傾向は一過性にとどまらないでしょう」