グリーン投資税制の改正:先行業者だけ得をする10カ月の限定措置

規格外の優遇策/減税の対象となるのは、事実上メガソーラー発電所をはじめとする事業用の発電システムだけ。新規参入も間に合わない。どう見ても、「別の事業で大儲けして、新たに太陽光発電ビジネスに乗り出す企業」のための制度だ。(PANA=写真)

太陽光発電や風力発電由来の電力を固定価格で買い取ることを定めた再生可能エネルギー特別措置法が成立した。

意外に知られていないのが、同法成立と同時に、再生可能エネルギーへの投資を税制面で優遇する、いわゆるグリーン投資減税が改正されたことだ。

この新グリーン投資減税の内容は驚くべきものだ。中小企業者に限り、設備取得価額の7%分の税額が控除されるとともに、期間中に太陽光発電および風力発電の設備を取得した事業者に対し、設備投資の全額を即時、償却対象とすることを認めたのだ。

仮に、本業の年間利益が1億円の企業が1億円の太陽光発電システムを購入して発電ビジネスに参入すれば、利益は計算上ゼロとされ、法人税を払う必要がなくなってしまう。

そうやって償却を済ませたうえで、購入した太陽光発電システムで発電した電気を固定額で売れば、その分がまるまる儲けになるのだ。

もう1つの驚きは、この新制度が「12年5月29日から13年3月31日まで」という、わずか10カ月の期間限定措置であることだ。ソーラー発電所の建設にはまず土地の手当てが必要だが、ここまで短いと、制度の恩恵に与れるのは、現時点でその手当てを終えている企業に限られてしまう。

このような期限を設ければ、発電事業に参入計画を持っていた企業は10カ月の間に一斉に設備の購入に走り、製造メーカーは供給が間に合わない事態に陥りかねない。得をするのは先行していた一部の発電業者のみ、息長く発電設備をつくり続けねばならない関連メーカーにとっては迷惑千万という、実に不可思議な新制度なのである。