2013年4月22日(月)

資源小国ニッポンを救う「エネルギー」の潮流

研究開発の新ネタ

PRESIDENT 2012年9月17日号

萱原正嗣(宇宙太陽光発電、ゼロ・エネルギー・ビル)/大越 裕(ミドリムシ燃料)=取材・文

宇宙太陽光発電:建設費は今後20年で数十分の一との試算も

宇宙空間で太陽光発電を行い、地球に電気を送る――。SFの話ではない。

効率は地上の10倍/宇宙太陽光利用システムのイメージ図。宇宙で発電し、マイクロ波で地上に送電する。2.5km四方の太陽光パネルを高度3万6000kmの静止軌道上に建設する計画。(JAXA=提供)

「宇宙太陽光発電」は、日本政府が2009年に策定した「宇宙基本計画」で、「有人宇宙活動」と並び4つの研究開発プログラムの1つに位置づけられている。JAXA(宇宙航空研究開発機構)を中心に、30年代の実用化を目指して研究が進む。

仕組みはシンプルだ。太陽光パネルで発電した電力を、マイクロ波に変換して宇宙空間を伝送し、地上のアンテナで受信して再度電力に変換する。太陽光発電の原理は、地上と同じ。電力をマイクロ波に変換する技術は電子レンジや携帯電話と同じだ。マイクロ波から電力に変換する技術も、「無線給電」の複数ある方式の1つとして、携帯電話や電気自動車で実用化目前だ。

もちろん課題は多い。最有力の設計モデルは2.5キロメートル四方の太陽光パネルを高度3万6000キロメートルの静止軌道上に配置したもの。一方、宇宙最大の人工構造物は、高度400キロメートルにある100メートル級の国際宇宙ステーション。距離もサイズも、桁が違う。

コストの壁も厚い。原発1基分に相当する100万キロワット級の衛星1基の費用は、現有技術では数十兆円、発電単価はキロワット時あたり数百円にもなる。石油火力が十数円、地上での太陽光発電が40円前後なのに比べると飛び抜けて高い。ただし費用の大部分を占める宇宙への輸送コストについては今後20年で数十分の一に低下するとの試算があり、半導体のコストも大幅に下がると考えられることから、希望はある。

日本は宇宙太陽光発電の先進国だ。1980年代に研究を開始し、09年から、世界初の1キロワット級の高精度無線送電の地上での実証実験に取り組んでいる。世界の注目度も高まっている。技術の発祥国である米国は11年から研究開発を再開。中国、インド、欧州も関心を示し、動きを見せ始めている。

JAXAの佐々木進専任教授は「人類の未来を担うエネルギーになりうる」と話す。

「宇宙太陽光は昼夜や気候の影響を受けず、地上と比べて10倍の運用効率を見込めます。実用化されれば、資源を巡る争いも終わりを告げるでしょう」

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