ウケる話をつくりたいのであれば、何か変わったことを見たり聞いたりしたとき、しっかりと心に留めておこう。

電車に乗ったら、聞こえてくる会話や中吊り広告に何かないか、アンテナを張り、取引先に行くのであれば少し早めに着いて近辺を回ってみる。ツカミのネタとして私が提唱しているのは、「アニキとタケシが過去住職」。「ア」は遊び、「ニ」はニュース、「キ」は季節、「ト」は友達、「タ」は旅、「ケ」は健康、「シ」は仕事、「ガ」は学校、「カ」は家族、「コ」は恋人、「ジュウ」は住居、「ショク」は食事。ここからネタを探しておくと、とっさに話が思い浮かばないときにも便利だ。

使えそうな話が見つかったら、まず5W1H1Dに整理しよう。これは話を正確に伝える要素である5W1Hに、結論にあたる「どうした(Do)」を加えたものだ。私自身の経験を例にすると、「つい最近(When)、家電量販店で(Where)彼女が(Who)テレビに映っているコブクロの歌を聴いて(What)、言葉が似ていたから(Why)『声量』と『性欲』を(How)言い間違えた(Do)」になる。

そして次の作業として、話に自分の気持ちを入れる。その状況を見て自分はどう思ったのか、気持ちが入ってないと聞き手は共感しにくいからだ。この場合、「恥ずかしかった」という“怒”でも、「愛おしくなった」という“楽”でもいい。そして話を起承転結に沿って肉づけしていく。

【起】彼女と一緒に家電量販店に行った。
【承】売り場にはたくさんのテレビが置いてあった。
【転】彼女がコブクロの映っている画面を見ていた。
【結】声量と性欲を間違えた彼女が、「すごい性欲だね」と言った。

こうして骨格ができあがった後、話を加工する。具体的には、聞き手が話を理解するために必要な情報を足す「補足説明」、話を面白くするために事実ありきで多少創作する「脚色」、面白い部分を際立たせるために不要な部分を省く「削除」である。