大勢のゲストが横並びで出演するバラエティ番組。ここで注目を浴びやすいのは話術の能力が高い人とは限らない。それよりもいじられやすい人に司会者や共演者からトークのパスが頻繁に集まり、露出が増えた結果、売れていくケースが多いのである。そしてこの「いじり・いじられ」は、上司や取引先の懐に入るための参考になる。

「いじり・いじられ」とは、ちゃんとしたフレーズで笑いを取るツッコミ・ボケとニアリーイコールで、マイルドな人間関係の中で笑いを通して築くコミュニケーションと考えてほしい。なかにはいじられることに対して、「バカにされた」といいイメージを持たない人もいるが、本当に嫌われている者はいじられもしない。私からすれば「いじられる」は「愛される」に近い。

たとえばビジネスで90点の仕事をするAと、同じく90点の仕事をするBがいた場合、上司は普段コミュニケーションを取っているほうに仕事をふるだろう。しかしAが90点でBが75点でも、上司がBをよくいじって可愛がっていれば、「俺がプラス15点見てやろう」と考えるかもしれない。つまりいじられ上手な社員は仕事が回ってきて、アピールする機会が増えるのである。

上手にいじられるための、もっとも効果的な方法は自分のキャラを売ることだ。「トーク術」の項でキャラがあるとウケる話がつくりやすくなると説明したが、キャラが認知されるほど、太っている人なら「甘いものに目がないんですよね」、金遣いが荒い人なら「今月もお金ないんでしょ?」と周囲からコメントしてもらいやすくなる。他人が言及しやすいのであれば、長所に限らず、太っている、貧乏、ギャンブル好きなど、一般的にマイナス要素とされていることもキャラになる。