2013年3月11日(月)

坂本孝社長が振り返る!「俺のフレンチ」誕生の軌跡

PRESIDENT 2013年4月1日号

著者
山川 徹 やまかわ・とおる
フリーライター

1977年、山形県生まれ。國學院大学文学部卒業。大学卒業後、フリーで執筆活動を続ける。著書に『捕るか護るか? クジラの問題』(技術評論社)などがある。

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山川 徹=文 市来朋久=撮影
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銀座地区に6店舗。集中出店の理由

俺の株式会社 社長 
坂本 孝 

1940年生まれ。ブックオフコーポレーション創業者。2007年に同社会長を辞任。09年にバリュークリエイト(現「俺の」)を起業。

照明が落ち、ピアノの音が響く。開店から20分ほどでいっぱいになった35坪ほどの店内で、肩を寄せ合ってワインを飲む客たちが、ジャズバンドの生演奏に耳を傾ける。満席といっても椅子は33脚。あとの34席は立ち飲みだ。入り口には寒空のもと空席を待つ客たちが並んでいる。2月14日に銀座にオープンした「俺のイタリアンJAZZ」の店内は活気に満ちていた。

ミシュランで星を取れるレベルの料理を安価に提供する立ち飲み屋――。そんな奇抜な店をオープンさせたのは、ブックオフの創業者で、「俺の株式会社」社長の坂本孝である。坂本が焼き鳥屋などの飲食店を手がけたのは2009年から。しかし赤字が続いていた。

「飲食店の初心者の私たちが、他の飲食店と同じ方法で努力しても、既存の店には勝ち目はなかった。そこで行列が出来る人気店を100店舗以上調べて、ミシュランの味と立ち飲み屋――そのふたつの組み合わせでいこうと決めました。お客さんの回転率を上げることで劇的な価格破壊を起こし、いままではありえなかった値段でイタリアンやフレンチを提供していこう、と」

「俺のイタリアン JAZZ」の店内。毎晩、バンドの生演奏がある。

「俺のイタリアン」そして「俺のフレンチ」は、ミシュランの星付きレストランで働いた経験を持つ腕利きのシェフたちが手がける高級ディナーを、立ち飲みのスタイルで提供する外食チェーンである。毎月1日に翌月末日までの予約を受け付けるが、各店とも数日で予約が埋まるという盛況ぶり。この2年で俺のシリーズは15店にまで増えた。

出店の基準は独特だ。現在、新橋・銀座地区だけで6店舗。しかも「俺のイタリアンJAZZ」のすぐ隣には「俺のフレンチ テーブルタク」が店を構える。狭いエリアに店が集中すると客を奪い合ってしまうのではないか。坂本は説明する。

「『JAZZ』がオープンしたからといって、隣の『テーブルタク』の売り上げが落ちたわけではありません。逆に店舗同士での競争が相乗効果を生み出して、従業員の志気を高めているんです。銀座地区には15店舗まで増やすつもりです」

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