消費税率は2014年4月には8%、15年10月には10%に引き上げられる。自公民の三党合意であり、政権交代があっても見直される可能性は低いだろう。しかし、デフレを解消しなければ消費はさらに低迷することが予想され、景気にも悪影響を及ぼす。さらに気になるのは、中小企業が消費税率のアップに耐えられるかどうかである。

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消費税の基本的な仕組み

まず、消費税の仕組みについて整理しておこう。

たとえば、下請け企業が80万円の部品を大手メーカーに納入したとする。メーカーは80万円に消費税を加えた額を下請けに支払う。税率5%なら消費税は4万円で、税込み84万円である。そして、下請け企業は受け取った消費税4万円を納税する。受け取ったのは84万円でも、うち4万円は消費税を「預った」だけで、納税時期には消費税として納めることになる。

一方、大手メーカーは下請け企業から仕入れた部品を使った製品を国内で消費税込み105万円の価格で販売したとしよう。ここで大手メーカーは消費者から消費税5万円を「預った」ことになる。しかし、80万円の部品を下請けから仕入れる際にメーカーは4万円の消費税を負担しているので、「5万円-4万円=1万円」の消費税を納税すればいいのだ。

結局、消費税は最終消費者が負担するものであり、このケースでは100万円の商品を買った人が5万円を負担する。メーカーが下請けに払った4万円は立て替えであり、消費者から5万円を受け取れば、そこから4万円を相殺できるのだ。国にはメーカーから1万円、下請け企業から4万円が入る形になる。

しかし、メーカーが海外で商品を販売した場合は事情が異なってくる。

海外での販売には日本の消費税を課すことができず、消費税非課税で販売することになる。国内で販売した場合に消費者から受け取ることができる5万円が受け取れず、下請けに払った(預けた)消費税4万円を相殺することができない。

前述のように消費税は最終消費者が負うべき税金であり、メーカーが負担する必要はない。そこで輸出企業に対しては、仕入れの際に支払った消費税の還付が受けられる制度がある。「輸出戻し税」といわれるもので、先の例では下請けに払った4万円が大手メーカーに還付される。

この輸出戻し税は毎年3兆円にのぼるといわれており、消費税1%分の税収に匹敵するという。気になるのは、これが本当に戻し税かということである。

前回の消費税増税の際には、税率が高くなった分、大手メーカーが下請けに値引きを要求したケースも多いといわれている。先の例では80万円の商品にかかる4万円の消費税分だけ本体価格を値下げさせ、消費税込み80万円で納入させる形だ。

当然、下請け企業はコストカットを迫られ、利益も圧迫されることになる。しかも「80万円-(80万円÷1.05)=3万8095円」だけ預ったという形の消費税を納税しなくてはならない。赤字なら法人税はかからないが、消費税はあくまで預かったものであり、業績に関係なく納める義務がある。下請け企業にとってはまさに“泣きっ面に蜂”だろう。

問題はこれだけではない。大手メーカーは形としては仕入れの際に消費税を払っていることになり、海外販売分については、4万円分の輸出戻し税の還付を受けることができるのだ。

何度となく指摘されてきたことだが、戻し税の仕組み自体には問題がないため、手をつけようがない、というのが実情である。問題は下請け企業が消費税分を転嫁できるかどうか。「企業努力でお値段据え置き」となれば、その皺寄せは一体どこにゆくのだろう。