大手総合商社の双日は、2012年11月2日に発表した第2四半期決算で累計117億円の「投資有価証券等評価損」を計上した。会社側によると、保有する有価証券のうち、時価が著しく下落し、回復する可能性があると認められないものについて、減損処理による投資有価証券等評価損を計上する必要が生じたという。

企業では株式や債券など、さまざまな有価証券を保有しており、会計上それらは「有価証券」として扱われる。所有目的などによって種類が分かれるので、その定義や評価の扱いについて整理しておこう。

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有価証券の所有目的による分類と意味

まず挙げられるのが、「売買目的有価証券」で、これについては決算時に時価で評価する。仮に1000円で取得した株が決算時に1200円に値上がりしていれば、差額200円は運用の成果があったものとして扱われる。

この場合の含み損益は財務活動の成果として、損益計算書の経常利益以下に反映させる。ちなみに保有の目的が売買であるかどうかは会社が決めていて、それに従って会計士が監査することになる。

このほか時価評価が必要な有価証券には「その他有価証券」がある。これには取引関係の安定化を目的に保有している、いわゆる“持ち合い株”と呼ばれるものなどがある。また、満期まで所有する意思のない債券も、その他有価証券に分類される。

これらは保有目的が漠然としていて、いつ売買されるのかわからないが、会計ルール上、決算時点の処分価値を明らかにすることが要請される。つまり、時価評価をしておくわけだ。

また、この場合に生ずる含み損益は最終的には確定していない損益として包括利益計算書の「その他包括利益」に計上される。売買目的の所有とは違い、基本的にすぐ売るという意図はないからだ。このように利益や売り上げなどが確定していないことを、会計の世界では「リスクから解放されていない」ともいう。

常識で考えれば、そもそも事業会社が短期売買目的で株を多く保有しているとは考えにくく、その多くは持ち合い株である。ただし、一度に大量の同じ会社の株式を売れば、株価下落の要因ともなる。それだけに、持ち合い株を売る際には事前に相手の了解を求める必要があり、ある意味では“売りにくい資産”ということができる。

しかし、会計上は決算時に時価評価しなければならず、取得時より値上がりしていれば利益が生じているように見えてしまう。ただし、確定した利益ではないことから、その他包括利益として計上され、損益計算書の純利益には反映されない。

それに対して、支配目的で保有している「子会社および関連会社株式」や、「満期保有目的有価証券」は、取得したときの価格、つまり「取得原価」を基準に評価する。

支配目的で保有する株式は子会社を支配するという意味で事業資産でもあり、売る意思はないはずである。それを時価評価し、損益を計上するのはミスリードを生むことになるため、時価評価せずに原価のまま据え置くのだ。

また、債券の中には額面金額より安い値段で発行される「割引債」があるが、額面金額と取得金額の差額分が金利に相当する。そこで、毎年、その金利分を上乗せし、あたかも原価が上がっていくような処理を行う。これを「償却原価法」という。

このように、有価証券の評価はその性質によってさまざまであり、論点のデパートといってもいいだろう。

双日の例のように、株価が著しく下落して回復の見込みがないような場合には、減損処理を行うなど会計処理にもいくつかのポイントがあるので、次回、改めて解説したい。