自己肯定感の力があれば乗り越えられる

それは子どもだけでなくまわりの大人たちも、コスパ(コストパーフォーマンス)やタイパ(タイムパフォーマンス)を重要視している行動のせいかもしれません。

たとえばSNSで、「この洋服かわいいから買おう!」と画像を見てすぐ決めたり、「30秒で情報を知りたい」というとき、ちょうどいい動画があったりします。

インターネットを使えば、早く、確実に、そして楽に、必要な情報だけをすぐに手に入れられますし、本人がコントロールできます。それ自体は悪くないことですし、むしろ効率的で生産的です。でも、これに慣れ、これだけに頼ってしまうと、都合よくいかないことがあったときに、すぐあきらめてしまいかねません。

わたしたちの人生、仕事や人間関係など、そんなに都合よくうまくいかないことのほうが多いもの。そんな自分でコントロールできないことにぶち当たったとき、それでもがんばろうと思えたり、違う方法はないかなと考えたりすることができるのが、自己肯定感の力です。コスパやタイパ重視の現代だからこそ、自己肯定感をはぐくむことが重要なのです。

「自分はダメな人間」と思う高校生は3倍に

日本の子どもたちの状況がいまいかに危機的か。別の調査では、日本の高校生は、「自分を価値ある人間だ」という自尊心をもっている割合が、アメリカ、中国、韓国の高校生に比べて半分以下でした。

また「自分はダメな人間だと思うことがある」という項目に「よく当てはまる」と答えた高校生の割合は、1980年の調査では12.9パーセントでした。しかもその割合は増えつづけ、2011年の調査では36.0パーセントと3倍になっているのです〔(財)一ツ橋文芸教育振興会、(財)日本青少年研究所「高校生の生活意識と留学に関する調査報告書 2012年4月」〕。

この結果から学ぶべきは、「いまの高校生には夢や希望がない」などと嘆くことではなく、わたしたち親世代がいままで教わってきたこと、やってきたことが本当に子どもたちにとってよかったのかどうか、もう一度冷静に考える必要があるということかもしれません。