製造業に関わるコンサルタントの心底驚いた一言

ものづくり太郎が本気を示す第一歩としては、研究会のような性格を持つコンソーシアムを立ち上げる予定です。会員制のサロンのようなもので、基本的には、自分の会社を動かせるようなエグゼクティブに集まってもらいます。

なぜエグゼクティブに限定するのかといえば、製造業全体の今後に関わる規模のことをやっていきたいからです。

コンサルタントのような存在になるつもりなのかといえば、そういう面もあるかもしれませんが、一般的にイメージされやすいコンサルタントとは一線を画します。

企業によっては、製造業のことをまったく理解していないコンサルタントを入れてしまっていることも多い気がします。

最近、外資系の大手総合コンサルティング会社のマネージャークラスの人間と話してみたことで、心底、驚く経験をしました。そのコンサルタントは「製造業にソリューションを提供していきたい」と話していたのに、CAD(※)という言葉さえ知らなかったのです。

彼らがどこかの企業とコンサルタント契約を結べば、かなりの金額を受け取ることになります。

※computeraided design。「コンピュータ支援設計」と訳される。コンピュータ上で設計を行うためのツールで、ほとんどの産業製品がCADを使って設計されている。

“虚無を売っている”と言ってもいい

製造業ソリューションの1つのかぎを握るのがCADなのにもかかわらず、CADを知らずに何ができるのでしょうか? これまでにはない新しいソリューションを提案されたとしても、実際にそのやり方を導入すれば、現場の作業効率はあがるどころか後退することもあるはずです。

タブレット端末の上に映し出された家の設計図のホログラムを見て話す建築家とクライアント
写真=iStock.com/Warchi
※写真はイメージです

言葉は厳しくなりますが、プラスがないどころかマイナスになりかねないアドバイスによってお金を取る行為では、“虚無を売っている”と言ってもいいのではないかと私は思います。

いつまでもこうしたことがまかり通っているようでは日本の製造業は本当に終わってしまいます。無残な結末を迎えてしまわないためにも、本当にやるべきこと、できることを示していきたいと考えています。

エグゼクティブのコンソーシアムを立ち上げてどうしようと考えているのか……。オンラインサロン的なものにとどめるつもりはありません。

セミナーを開催したりディスカッションの場をつくるだけではなく、自分自身がアクティブに動いて、実のあるビジネスチャンスを提供していくつもりです。そのため、国の機関や外国の企業とつないでいく仲介役も果たしていきたいと考えています。

私にもそれなりのコネクションはあるので、今まさにつながっておくべき海外企業などには積極的に視察に行きたいとも思います。