欧米では電子データの規格が統合されているが…

欧米では業界VANが統合されているのに日本ではいまだ統合されていません。この事実もまた、標準化の遅れと無関係ではない気がします。

VANというのはEDIの一種です。EDI(Electronic Data Interchange)は「電子データ交換」と訳されます。経産省の定義では「異なる組織間で、取引のためのメッセージを、通信回線を介して標準的な規約を用いて、コンピュータ間で交換すること」となっています。

ある程度より上のレベルになると、コンピュータ同士で電子データをやり取りすることになります。業界VANは特定の業界に特化したネットワークサービスです。

欧米では統合されてデファクトスタンダード(事実上の標準)ができているのに対し、日本にはものすごい数の業界VANがあります。おそらく数百といったレベルです。それでは電子データの連携がとれません。

大手メーカーがEDIシステムの伝票をサプライヤーに送ってきたときにも、受け取った側はそれを手打ちして通常の伝票に直す作業を行うことがあります。入力を行うための業者も存在しているのが実態です。

データの標準化といった部分における成功例を見つけにくいのが日本です。

標準化の必要性を感じることが少なかっただけでなく、他組織と連携することに消極的だったのだろうとも振り返られます。

ガラパゴス化していく日本の製造業

早くからVANを統合していた欧米はその点が違いました。データをリアルタイムでやり取りするのが当たり前になっていたので、データの標準化を進めることなども自然にできたのだと考えられます。

P2Pもそうです。企業同士でネットワークの連携を果たしていくことは、似た事例で成功していなければ難しかったのではないかと思います。

いざデータの連携ができてしまうと、メリットは大きいものがあります。人が介在する必要がある部分は減り、工数を減らせます。

バラバラにやっているより圧倒的に効率が良くなることがわかっているので、データ連携に前向きになれるのだろうと考えられます。

日本ではビジネスの世界でいまだにファックスのやり取りが行われていることも揶揄やゆされがちです。笑われても仕方がない部分です。

EDIの連携などができてこなかったからこそ、前時代的にファックスを送受信しているのだと見ていいでしょう。データ連携することに対してアレルギーのようなものを持っているところもあるかもしれません。データの扱いに対する感度が低くなっているのは間違いなさそうです。