デジタルネイティブである「Z世代」は本音がわからないと、批判めいた言葉を口にする上の世代は多い。これに疑問を呈するのが『「人間関係」は性格と相性が9割』を上梓したディグラム・ラボ代表の木原誠太郎さんだ。木原さんは「この世代はドライに見られるが、ある意味、昭和世代などより相手の気持ちを汲み取るスキルに長けている」という──。(第2回/全4回)

「対面コミュニケーション」を巡る断絶

私は昭和生まれのオジサンです。中高生のころは当然スマホなどありません。携帯電話は一応ありましたが、仕事で本当に必要なビジネスマンだけが持つようなものでした。

同世代の方ならおわかりいただけると思いますが、そのため友人への連絡はもっぱら自宅の黒電話で相手の家に電話をする、というスタイル。気になる女の子の家に電話をするときは、彼女のお父さんが出ないかビクビクしたものです。

社会人になると、新人として最初の仕事は「電話の応対」でした。仮に個人のメールアドレスを知っていても、まずは対面か電話で話をし、名刺を交換してからメールするというステップを踏むのが当然とされ、突然メールを送りつける行為は「失礼」とされていました。

当時は会社のホームページもなく、現在のように「info@」からメールが届くこともありません。

仕事が終われば「飲みニケーション」と称して会社の上司や同僚と飲みに行きます。会社では「福利厚生」として運動会や社員旅行が催されていました。良くも悪くも対面コミュニケーション能力が鍛えられる環境を過ごすことになったのです。

スマートフォンで共有する友人
写真=iStock.com/ViewApart
※写真はイメージです

コミュニケーションのスタイルに大きな世代間断絶が

ところが近年では、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が広まり、働き方改革が進み、プライベートを大切にするような風潮が高まりつつありました。

そんな中で発生したコロナ禍。

リモートワークが広まる社会風潮も相俟って、昨今の若者は、すっかり対面コミュニケーションの機会が減ってしまい、風景は一変しました。