「どうして弊社を希望するんですか?」の正しい答え

就活ではよく、「どうして弊社を希望するんですか?」という志望理由が聞かれます。その質問に対して、多くの人は「御社を志望した理由は、御社の掲げる企業理念に共感したからです」なんて言いますね。

建物を見上げるビジネスマンのイメージ
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この文言は就活においてよく聞きますし、もう使い古され過ぎていて逆に空虚な言葉になっている感じもありますが、実際、本気で「企業理念」に共感している人材は、会社としてはとても望ましい人材なんです。

ある食品会社があったとしましょう。「日本人により多くの食品の選択肢を提供したい」という企業理念を掲げていたとします。

そしてそれに対して、「たしかに自分がおじいちゃんになったときに、もっといろんな食品の選択肢が欲しいもんなぁ」「美味しいものがもっと食べられるようになったらいいよなぁ」と考えている人がいたとしたら、企業のために頑張ることが、自然と自分のために頑張ることとつながっていきます。

その企業の目標と、自分という人間の目標がマッチしているのであれば、仲間としてスムーズに協力して仕事を進めていくことができますよね。

先ほどから解説している「自分のために」の解釈を広く持てるというのは、志望理由を考える上でも活きてくるのです。そして、だからこそ「御社を志望した理由は、御社の掲げる企業理念に共感したからです」という文言はずっと言われ続けているのです。

共感は具体的に

でも、これを形だけ真似してもうまくいくことはないでしょう。なぜうまくいかないかというと、「企業理念がすばらしい」のと、「自分のやりたいことが、その企業理念とマッチしていること」とは別だからです。

「この企業理念、いいですよね!」と言っても、重要なのは共感の部分で、「その就活生自身とその理念がどう結びついているのか」が明確でないと意味がないのです。

そして多くの人は、この「共感」を抽象的に答えてしまいがちです。先ほどの食品会社の志望理由にしても、「日本人に、より多くの食品の選択肢を提供したい」という企業理念はすばらしいと思います。自分も食品の分野に興味があり、高校時代も大学時代も食品に関わる活動をしていて、その上でこの理念に共感しました。

なんて言ったとしても、「何に共感しているのか?」、もっと言えば「自分の目標として会社の理念を認識できるほどに共感し、これから数十年もこの会社のために働けるほど、自分事にできる理念として捉えているのか?」という疑念は払拭できませんよね。