3月4日、日経平均株価の終値が初めて4万円の大台を突破した。日本経済をさらに力強く成長させるには、なにが必要なのか。早稲田大学公共政策研究所の渡瀬裕哉さんは「長い不況から抜け出た今こそ、『減税』による経済成長で正常な軌道の国に戻るチャンスだ。岸田政権は新たな『増税』を狙っているが、断固として阻止すべきだ」という――。
東京の日の出の街並み
写真=iStock.com/GoranQ
※写真はイメージです

「国民負担率」は48.4%に達している

日本経済は長いデフレ不況のトンネルを抜けつつある。3月4日、日経平均株価は4万円の初の大台に乗せ、新NISAで国内外の株式投資に参加した人々の懐も暖まっていることだろう。このまま労働者賃金の上昇まで辿り着ければ、日本経済が完全復活する日も遠くないだろう。

ただし、明るい日本の未来を閉ざす暗雲が広がっていることも事実だ。それは増税と規制強化による負のスパイラルの再来である。

財務省が令和6年2月9日に公表した国民負担率(令和4年度・実績値)は48.4%であった。これは国民の稼ぎの半分が税金及び社会保障費を負担するために奪われていることを意味する。その上、この数字には数兆円規模の再エネ賦課金などは含まれてすらいない。

この国民負担率は、昭和45年(高度経済成長期後期)は僅か24.3%でしかなく、昭和54年度に初めて30%を超えた程度であった。まさに過去の日本は若者が働けば働くほど未来を描けた時代と言えよう。その後、日本政府はバラマキと増税という極めて短絡的な政策の組み合わせを強力に推進し、いまや日本政府の活動は五公五民の酷政と称しても過不足ない数字にまで肥大化した。膨れ上がった税負担及び社会保険料負担は主に現役世代の重荷となり、可処分所得が低下した若者の節約志向が強まるとともに、未婚率の上昇に伴う少子化による人口減少にも繋がっている。

なぜ世界トップだった日本企業は没落してしまったのか

また、失われた30年の間には世界トップのグローバル企業の顔ぶれもスッカリと変わってしまった。平成元年の世界の時価総額ランキングで上位にあった数多くの日本企業のうち、令和時代にもその威勢を誇る存在はトヨタのみだ。これは政府が闇雲に規制を増加させて、新規のスタートアップを抑制してきたことも影響している。

総務省行政評価局「許認可等の統一的把握」(平成30年)によると、平成14年に1万621個であった許認可数は、平成29年には1万5475個にまで増加していた。この増加した規制には強度の規制も多数増加しており、日本の起業家による新産業勃興の芽を摘んできたと言えよう(平成31年以降は総務省が規制数を数える取り組みすら停止している、最悪だ)。