2023年年間ベストセラー「単行本ビジネス」部門1位の話題書

ビジネス実務部門賞は『頭のいい人が話す前に考えていること』。2023年年間ベストセラー(日販調べ)の「単行本ビジネス」部門で第1位に輝いた話題書です。

安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)
安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)

本書では、コミュニケーションの黄金法則が7つ示されます。

法則1:とにかく反応するな
法則2:頭のよさは、他人が決める
法則3:人はちゃんと考えて“くれて”る人を信頼する
法則4:人と闘うな、課題と闘え
法則5:伝わらないのは、話し方ではなく考えが足りないせい
法則6:知識はだれかのために使って初めて知性となる
法則7:承認欲求を満たす側に回れ

法則3の「人はちゃんと考えて“くれて”る人を信頼する」では、多くの人をギクリとさせる例が紹介されています。

デート中、相手から「この青の服と、白の服、どっちを買ったらいいと思う?」と聞かれたら、あなたはなんと答えるでしょう?

ここで、何も考えることなく「白かな」と答えると、「適当に答えていない?」と思われてしまいかねません。「あなたのことをちゃんと考えているよ」という姿勢を見せるなら、「白と青、それぞれ、どこがいいと思ったの?」と返すのがベストです。

あなたは何も考えず、思いついたことをそのまま発言してしまっていませんか。本書を読んで、話す前にひと呼吸置いて「考える」習慣をつければ、まわりから一目置かれるようになり、仕事もプライベートも思い通りになるでしょう。

「老後のための節約」は本当に正しいのか

〈特別賞〉のロングセラー賞は、「ゼロで死ね」というタイトルが鮮烈な『DIE WITH ZERO』でした。

ビル・パーキンス著、児島修訳『DIE WITH ZERO』(ダイヤモンド社)
ビル・パーキンス著、児島修訳『DIE WITH ZERO』(ダイヤモンド社)

老後に備えて貯金をする。この行動に異を唱える人はほとんどいないでしょう。ですが本書では、この一見合理的な行動の否定から始まります。

その理由は、お金を節約しようとするあまり、そのときしかできない経験の機会を失ってしまうと、世界が小さな場所になってしまうから。

必要以上にため込むのではなく、今しか味わえない経験に時間と金を費やす――。これを突き詰めると「ゼロで死ぬ」というところに行きつくのだと著者はいいます。

「人生の最後に残るのは思い出だけだ」「思い出は金融投資と同様、私たちに配当を与えてくれる。その瞬間の喜びだけでなく、あとから振り返ることで、当時の風景や感情を追体験できる」

このメッセージを受け取って、あなたはまだ、老後のために節約を続けようと思うでしょうか?

思い出の配当をより多く得るために、まずは今すぐ経験に投資することから始めましょう。喜びを先送りにするのではなく、「いま」この瞬間に良質な経験をしましょう。これこそが、長い残りの人生を豊かに過ごす方法なのです。