AI時代を生き抜くには何が必要か。医師の和田秀樹さんは「情報化社会では基礎学力の有無により『頭のいい人』『悪い人』の格差が拡大する。それはAIの浸透した時代でも同じで、言ってみれば誰もが『ドラえもん』を持つような時代になると、『こんなものを出してほしい』という『のび太』のように発想力のある人の価値が高まる」という――。

※本稿は、和田秀樹『頭がいい人の勉強法』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

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写真=iStock.com/Anucha Tiemsom
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情報化社会は「頭のいい人」「悪い人」の格差が拡大

AIの時代になれば、「大半の知的作業はAIが代行してくれるので、勉強はいらなくなる」という見方がありますが、本当にそうと言えるでしょうか。

インプットできる知識の量においては、人間はとうていAIにはかないません。単なる「物知り」では意味がない時代になることは確かです。

すでに、インターネットの検索ひとつで大量の情報を瞬時に得られるようになりました。知識量そのものはほとんど意味をもたなくなっています。だからといって勉強していないと、検索して出てきた情報を読んでも理解できないという問題が起こります。

私たち医師がネットで検索した医学論文を読んで理解できるのは、医学の用語をたくさん知っていたり、医学的な知識を持っているからです。医学の勉強をしたことのない人にとっては、どんなに優れた論文でもあまり理解することは困難でしょう。

慶應義塾大学の文学部の入試では、英語の試験で辞書の持ち込みが認められています。「それなら単語を覚えておく必要がないので、楽勝だ」と思うかもしれませんが、3ページほどにもわたる難度の高い英文を読んだ上で、その内容をしっかり理解していなければ解答できません。

もともと英語ができる人は、本当にわからない単語だけを辞書で確認すればいいので、辞書を持ち込むことによって、より確実に英文を読みこなすことが可能になります。しかし英語ができない人は、1行にいくつも出てくるわからない単語を、いちいち辞書で引いているだけで時間切れになってしまいます。

その結果、もともと90点の力がある人は100点をとれる半面、30点の力しかない人は1点もとれないということが起こります。

情報化社会になるほど、勉強しなくてよくなるのではなく、勉強している「頭のいい人」と「頭の悪い人」の差がさらに拡大するのです。