今年末の「プレミア12」はどうするのか

「いや、日本には日本のやり方がある。何でもかんでもアメリカや世界に合わせる必要はない」とは日本の野球関係者の口癖ではあるが、WBCに象徴されるように、日本野球は「国際試合」を通じてステイタスを高め、長期低落傾向が続く国内の野球人気を維持してきたのだ。

2026年の第6回WBCでは、ほぼ間違いなく「ピッチクロック」が導入される。観客動員1位のMLBだけでなく世界3位、4位のプロリーグであるKBO、CPBLが導入しているのだから。

それ以前に、今年11月に行われる「第3回WBSC世界プレミア12」(※)でも「ピッチクロック」が導入される可能性がある。大会は台湾と日本で行われるが、日本以外の多くの国で今期から「ピッチクロック」が導入されるからだ。

※日本、韓国、台湾のほか、アメリカ(MLBは参加せずマイナーリーガーなどが中心になる見込み)、オーストラリア、メキシコ、オランダなどが参加する

152年前に野球が日本にもたらされて以降、アメリカでルール改定が行われれば、日本野球では1年後にはそれに準拠して「公認野球規則」を改定し、ルールを改めてきた。

日本野球のガラパゴス化

しかし、近年、異変が生じている。

2020年からMLBで導入された「ワンポイントリリーフの禁止」「タイブレーク制の導入」、そして2023年の「ピッチクロック」「一、二、三塁ベースの大型化」「極端な守備シフトの禁止」などについて、日本はこれまで通り、公認野球規則を改定はした。

だが「ただし、我が国では○○については、適用しない」と付記している。

MLBでは2022年にナショナル・リーグがDH(指名打者)制を導入した(ユニバーサルDH)。これにより大谷翔平のナ・リーグのドジャースへの移籍が可能になったわけだが、日本のセントラル・リーグと、高校野球、大学野球の一部はまだ導入していない。

今では少年野球も含めて世界でDH制を導入していないのは、日本のこれらの団体だけだ。要するに「ガラパゴス化」が進んでいるのだ。

「なんでこんなにいろいろ変えるんだ。アメリカのやり方にはついていけない」あるプロ野球審判のOBはそう言った。NPBの裏方の正直な声ではあろう。しかしながら「だからと言って、このまま放置する」のは無責任すぎる。