「野球離れ」に対する危機感がない

球団関係者に話を聞くと「ピッチクロック」の導入に難色を示す背景にはコストの問題があるという。

本拠地球場のバックネット裏にタイマーを設置しなければならないし、時間表示システムを導入し、放送とも連動させる必要がある。専門の人員が必要な可能性もある。

またNPBの場合、本拠地球場だけでなく、地方球場でも公式戦を行う。年に1、2試合しか試合を行わない地方球場にも「ピッチクロック」のシステムを設置する必要が生じる。

さらに球場の営業サイドからは「試合時間が短くなれば、ビールや食事などの売り上げが減る」という懸念の声も上がっているという。

率直に言ってNPBサイドにはMLBのような「野球離れ」に対する危機感がないのだと思わざるを得ない。

台湾、韓国では今シーズンから導入

一方で、日本の社会人野球を統括する日本野球連盟(JABA)は2023年、「スピードアップ特別規定」を設け、ピッチクロックのほか、牽制の回数制限などMLBと同様の「時短」政策を導入した。

昨年7月に行われた社会人野球の都市対抗大会で、初めて導入したが、1試合の平均時間は昨年と比べて約7分短縮されて2時間37分となった。JABAは2024年シーズンも引き続き「ピッチクロック」を実施するという。(時事通信 2023年8月1日配信記事

筆者は昨年11月末に、台湾でアジアウィンターリーグを観戦したが、台湾の球場のバックネットにはタイマーが設置されていた。

台湾の球場に設置されていたタイマー
筆者撮影
台湾の球場に設置されていたタイマー

今年1月、台湾プロ野球(CPBL)は「ピッチクロック」などの「時短」ルールを一軍二軍ともに導入すると発表した。おそらく、アジアウィンターリーグでは試験的に「ピッチクロック」を導入していたのだろう。

それに先立つ昨年10月には、韓国プロ野球(KBO)が「ピッチクロック」の2024年度からの導入を発表している。(日刊スポーツ2023年10月19日配信記事)

国内でも独立リーグの九州アジアリーグは2023シーズン全試合の平均試合時間が3時間9分であった現状を踏まえ、リーグの目標である2時間50分を目指すため「ピッチクロック」を導入すると発表している。(九州アジアリーグ2024年1月30日配信の「NEWS」より)

世界の野球界の趨勢は「時短」なのだ。