日本でも「ピッチクロック」はすぐに導入できる

MLBでは時短のために「ピッチクロック」だけでなく「牽制球」のルールも改定した。

・投手が牽制球を投げるか、もしくは投手板から足を外す行為は1打席あたり2回までに制限され、3回目以降は走者をアウトにできなかった場合ボークとなる

これにより無意味な牽制球がなくなった。これも「時短」に貢献したと考えられる。

さらに2020年に新型コロナ禍の特例措置として導入された、延長戦の「タイブレーク」も、引き続き行われ延長戦の大幅短縮が実現している。

ネガティブな面もなくはない。一部の投手には「ピッチクロック」が投球に影響を与えたという。大谷翔平が9月に、二度目の右ひじ靭帯じんたい復旧手術を受けたのも「ピッチクロック」が関与したとの見方もあるが、それを裏付けるデータは今のところない。

ちなみに「ピッチクロック」の日本での導入に際しては公認野球規則の改定をする必要はない。

公認野球規則 8.04

塁に走者がいないとき、投手はボールを受けた後12秒以内に打者に投球しなければならない。投手がこの規則に違反して試合を長引かせた場合には、球審はボールを宣告する。

とあるからだ。公認野球規則の方が12秒と「ピッチクロック」より3秒短い。

2006年にこの規則が導入されたが、NPBでもアマチュア野球でも適用されることはほとんどなく、実質的に野放しになっていた。

しかし現時点での導入予定はない

日本のプロ野球の平均試合時間は9回時点で3時間7分、延長戦も含めれば3時間13分となっている。

NPBの観客動員は増加する傾向にはあるが「ピッチクロック」の導入は、新たなファン層を開拓するうえでも有効だろうと思われる。

しかしNPBは今季(2024年シーズン)の「ピッチクロック」の導入を見送っている。

昨年7月10日のオーナー会議で「ピッチクロック」の検討を始めるようNPB事務局、実行委員会に指示した。

会議室
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だが、NPB事務局の見解によれば「過去5年間の投球間隔は、MLBの定めている秒数をほとんどクリアしている」とし、まずは打者交代における時間短縮が妥当と判断。

前打者の打席完了から次打者が打席に入るまでの時間を「30秒以内」とすることを徹底するとした(「30秒ルール」)。2023年の平均は36.9秒だったが6.9秒短縮できれば1試合で6分19秒の短縮が見込まれるという。

これにより試合時間は3時間前後になる。NPBの井原敦事務局長は「今考えているのは3時間を切る、2時間50分~3時間が、試合時間の一つ適正な目安かな」と述べたという。

筆者にはMLBよりも20分も長い試合時間でよしとする根拠がよくわからない。ちなみに上記の「30秒ルール」を守らなくても罰則はないという。