「選挙の勝敗は顔の印象で決まる」という真実

人の顔の「印象」が持つ影響力に関しては、最新の心理学でも研究が進められています。

アメリカのプリンストン大学で、アレクサンダー・トドロフ博士らが行った実験で、人の顔の「印象」が、それを受け取った人の行動に影響を与えていることがわかってきました(『Science』2005.6.10号)。

実験では被験者に、それぞれ1人ずつ人物が写っている2枚の写真を見せ、どちらが、より「有能な政治家」か、を判断させました。

実は、その2人は実際の選挙で、対立候補となっていた2人でした。

被験者が選んだ人物と、実際に選挙で勝利を収めた人物は、なんと約70%の確率で一致していました。

この実験は複数回の選挙において行われましたが、毎回ほぼ同じ確率で一致していたそうです。顔の「印象」から、「有能な政治家である」と「判断」し、「選ぶ」という行動を起こす、また、それが実際の選挙行動と高い確率で一致している。

「選挙の勝ち負けは顔の印象で決まる」と言っても過言ではないと思いませんか?

他人は「目」より「眉」を見ている

プリンストン大学心理学部のアレクサンダー・トドロフ教授らによる『第一印象の科学』(みすず書房)という本の中に、とても面白い実験が掲載されていたので、ご紹介させてください。

視覚学者のパワン・シンハらが行った実験だそうで、人が「この人は誰なのか」を認識する際に、主に、顔のどのパーツを見て判断をしているか、を調べたものです。

髪と輪郭の中に1つのパーツのみを残してそれ以外のパーツを消した写真、つまりは、顔の中に眉だけがある写真、目だけ、鼻だけ、口だけ……の写真をそれぞれ見せて「この人は誰なのか」を被験者に判断させたのです。

さて、「この人は誰なのか」を、最も正確に認識できたのは、どのパーツだったと思いますか?

「目」だと思いませんか? 私はそう思いました。ですが実は……「目」よりも「眉」のほうがより正確に認識できるという結果が出たそうです。

もしもあなたが、「眉のメイクが苦手」だからとボサボサ眉のまま会社に行っているのなら、周囲からは、「ボサボサ眉」で「あなた」だと認識されているかもしれませんね。